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はじめに
建設業許可の6要件の中で、最初に確認すべきが「経営業務の管理責任者等の設置」(第1要件)です。この要件は、建設業の経営経験を持つ常勤役員等を配置することを求めるもので、許可取得の成否を左右する重要なポイントです。
令和2年10月の建設業法改正により、経営業務の管理責任者(以下「経管」)の要件が大幅に緩和されました。従来は限定的だった要件が、補佐者を置くことで経験年数を短縮できるなど、より柔軟な制度になりました。
本記事では、新人行政書士が経管要件を正確に理解し、顧客に適切なアドバイスができるよう、6つの要件パターン、必要書類、証明方法を実務目線で詳しく解説します。
![経営業務管理責任者とは?]()
この記事で使う主な書式
経管要件の確認と証明には、「(特典付き)行政書士開業セット」の中の以下の書式を使用します。これらの書式を正確に作成できるかどうかが、許可申請の成否を分けます。
経管の証明書式(従来型)
- 011 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号) - 従来型の経管要件を証明する基本書式。6つのパターンのうち、いずれかで証明します。
- 013 常勤役員等略歴書(様式第7号別紙) - 経管の詳細な経歴を記載。経験年数の証明に不可欠です。
経管の証明書式(新制度・令和2年改正)
- 012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2) - 令和2年改正で新設された書式。補佐者を置くことで経験年数を短縮可能です。
- 014 常勤役員等略歴書(様式第7号の2別紙1) - 新制度における常勤役員等の経歴を記載します。
- 015 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2) - 補佐者の経歴を記載。財務管理・労務管理・業務運営の経験を証明します。
要件確認用チェックリスト
- チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)の該当部分
- チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)の該当部分
経管要件は、これらの書式の「選択」と「正確な記入」が勝負です。6つのパターンから顧客に最適なものを選び、経歴を正確に記載しなければ、審査で指摘を受けることになります。
1. 経営業務の管理責任者とは
![経営業務管理責任者とは?]()
1-1. 経管の定義と役割
経営業務の管理責任者(経管)とは、建設業の経営業務について総合的に管理した経験を持つ常勤の役員等のことです。
なぜ経管が必要か?
建設業許可は、単に技術力があれば取得できるものではありません。建設業を適切に「経営」できる能力を持つ人材がいることも求められます。これが経管の配置義務です。
経管の要件が求めるもの:
- 建設業の経営経験(一定年数以上)
- 常勤性(その会社に常勤していること)
- 役員等の地位(法人なら取締役等、個人なら事業主本人等)
1-2. 令和2年改正のポイント
![経営業務管理責任者とは?]()
令和2年10月の改正により、経管要件は大きく変わりました。
改正前の問題点:
- 要件が厳格すぎて、優れた経営者でも許可を取得できないケースがあった
- 中小建設業者の事業承継が困難だった
- 建設業の担い手不足に対応できていなかった
改正後の変化:
- 補佐者制度の導入 - 財務管理・労務管理・業務運営の経験者を補佐者として配置することで、常勤役員等の経験年数要件を緩和
- 経験のパターンが増加 - 従来の3パターンから、実質的に6パターンに拡大。より多様な経歴で要件を満たせるようになりました。
- 新書式の追加 - 011(様式第7号・従来型)に加えて、012(様式第7号の2・新制度)を新設
この改正により、経管要件を満たす可能性が大きく広がりました。行政書士としては、顧客の経歴を詳しくヒアリングし、6つのパターンの中から最適なものを選択することが重要です。
2. 様式第7号(従来型)の6つのパターン
![経営業務管理責任者とは?]()
011 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)を使用する場合、以下の6つのパターンのいずれかで要件を満たす必要があります。
2-1. パターン1:5年以上の経管経験
要件:
建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
具体例:
- 建設業を営む法人の取締役として5年以上
- 建設業を営む個人事業主として5年以上
- 建設業を営む法人の執行役員として5年以上
証明に必要な書類:
- 登記事項証明書(法人の役員の場合)
- 確定申告書(個人事業主の場合)
- 工事実績等を証明する資料
実務のポイント:
このパターンが最も一般的で、分かりやすい要件です。ただし、「建設業に関し」という点が重要で、建設業以外の業種での役員経験は含まれません。
013 常勤役員等略歴書(様式第7号別紙)の記入:
5年間の経歴を月単位で詳細に記載します。途中で空白期間があると、その期間は経験年数にカウントされないため、注意が必要です。
2-2. パターン2:5年以上の準ずる地位(権限委任)
要件:
建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
具体例:
- 取締役会の決議により、建設業の経営業務全般について権限委任を受けた執行役員として5年以上
- 取締役の直下で、建設業の経営業務について包括的な権限を委任された者として5年以上
証明に必要な書類:
- 権限委任を証する書類(取締役会議事録、委任状等)
- 組織図
- 職務分掌規程
実務のポイント:
「権限の委任」を証明することが鍵です。単なる部長職や支店長では認められません。明確な権限委任の証拠が必要です。
2-3. パターン3:6年以上の準ずる地位(補佐業務)
要件:
建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
具体例:
- 建設業を営む法人の取締役の直下で、補佐業務として6年以上
- 個人事業主を支配人として補佐し6年以上
証明に必要な書類:
実務のポイント:
パターン2よりも緩やかですが、6年という長期間が必要です。「補佐業務」の範囲が曖昧なため、具体的な業務内容を証明することが重要です。
![経営業務管理責任者とは?]()
2-4. パターン4-1:2年役員+5年財務等+補佐者
要件:
- 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する
- かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る)としての経験を有する
- さらに、常勤役員等を直接に補佐する者として、財務管理・労務管理・業務運営について、それぞれ5年以上の経験を有する者を置く
具体例:
- 建設業の役員2年+財務担当役員3年の経験がある者が常勤役員等となる
- 財務管理の経験5年、労務管理の経験5年、業務運営の経験5年を持つ補佐者(1人または複数人)を配置
証明に必要な書類:
- 常勤役員等:登記事項証明書、在籍証明、職務内容証明
- 補佐者:在籍証明、職務経歴書、組織図
実務のポイント:
令和2年改正で新設されたパターンです。補佐者を配置することで、常勤役員等の経験年数のハードルを下げられます。このパターンでは012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2)を使用します。
補佐者の配置:
- 財務管理、労務管理、業務運営の3分野すべてに補佐者が必要
- 1人で複数分野を兼ねることも可能
- 補佐者は常勤である必要あり
2-5. パターン4-2:5年役員+2年建設業役員+補佐者
要件:
- 5年以上役員等としての経験を有する
- かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する
- さらに、常勤役員等を直接に補佐する者として、財務管理・労務管理・業務運営について、それぞれ5年以上の経験を有する者を置く
具体例:
- 他業種で役員3年+建設業で役員2年の経験がある者が常勤役員等となる
- 財務管理・労務管理・業務運営の経験5年を持つ補佐者を配置
証明に必要な書類:
- 常勤役員等:登記事項証明書、確定申告書
- 補佐者:在籍証明、職務経歴書、組織図
実務のポイント:
建設業以外の業種での役員経験も活用できる点が特徴です。他業種から建設業に参入する企業に適したパターンです。このパターンも012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2)を使用します。
![経営業務管理責任者とは?]()
2-6. 6つのパターン比較表
| パターン |
常勤役員等の要件 |
補佐者 |
使用書式 |
| 1 |
建設業の経管5年以上 |
不要 |
011(様式第7号) |
| 2 |
建設業の準ずる地位5年以上 (権限委任) |
不要 |
011(様式第7号) |
| 3 |
建設業の準ずる地位6年以上 (補佐業務) |
不要 |
011(様式第7号) |
| 4-1 |
建設業の役員2年以上 +財務等5年以上 |
必要 (3分野) |
012(様式第7号の2) |
| 4-2 |
役員5年以上 +建設業の役員2年以上 |
必要 (3分野) |
012(様式第7号の2) |
2-7. パターン選択の実務
顧客の経歴をヒアリングした際、どのパターンが使えるか判断するには、チェックリスト001またはチェックリスト002の経管部分を参照しながら確認するのが確実です。
【実務の流れ】
-
STEP
- 顧客の経歴を詳しくヒアリング
-
STEP
- チェックリストで6パターンを順番に確認
-
STEP
- 該当するパターンを特定
-
STEP
- 必要書類をリストアップ
-
STEP
- 011(様式第7号)または012(様式第7号の2)のいずれを使うか決定
注意点:
- 複数のパターンに該当する場合は、証明しやすいパターンを選択
- パターン4-1、4-2は補佐者の確保が必須
- 補佐者は常勤で、財務・労務・業務運営の実務経験が明確に証明できる人材が必要
3. 様式第7号の2(新制度)の活用
令和2年改正で新設された012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2)は、補佐者を配置することで経管要件を満たすための書式です。
3-1. 様式第7号の2を使うケース
以下のケースで012(様式第7号の2)を使用します:
ケース1:パターン4-1
- 常勤役員等が建設業の役員2年+財務等の経験5年を持つ
- 財務管理・労務管理・業務運営の経験者を補佐者として配置
ケース2:パターン4-2
- 常勤役員等が役員5年+建設業の役員2年の経験を持つ
- 財務管理・労務管理・業務運営の経験者を補佐者として配置
3-2. 様式第7号の2の構成
012(様式第7号の2)は、以下の書類で構成されます:
- 012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2)本体 - 常勤役員等と補佐者の基本情報。経験年数の概要を記載します。
- 014 常勤役員等略歴書(様式第7号の2別紙1) - 常勤役員等の詳細な経歴。役員経験、財務・労務・業務運営の経験を時系列で記載します。
- 015 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2) - 補佐者ごとに作成。財務管理・労務管理・業務運営の経験を詳細に記載します。
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3-3. 補佐者の要件
補佐者には厳格な要件があります:
必須要件:
- 常勤性 - 申請会社に常勤していること。健康保険証等で証明します。
- 経験年数 - 財務管理:5年以上、労務管理:5年以上、業務運営:5年以上
- 直接補佐 - 常勤役員等を「直接に」補佐する立場
補佐者の配置パターン:
- 1人で3分野すべてを兼ねることも可能
- 複数人で分担することも可能(例:財務担当1人、労務担当1人、業務運営担当1人)
実務のポイント:
補佐者の確保が難しい場合が多いため、事前に社内で適任者がいるか確認することが重要です。補佐者がいなければ、このパターンは使えません。
![経営業務管理責任者とは?]()
3-4. 様式第7号の2別紙2の記入実務
補佐者の略歴書(015 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2))は、財務管理・労務管理・業務運営の各分野について、具体的な業務内容を記載する必要があります。
記入例:財務管理
令和○年○月〜令和○年○月
○○建設株式会社 経理部長
業務内容:決算業務、予算編成、資金繰り、金融機関折衝
記入例:労務管理
令和○年○月〜令和○年○月
○○建設株式会社 総務部長
業務内容:採用、給与計算、社会保険手続、労務管理全般
記入例:業務運営
令和○年○月〜令和○年○月
○○建設株式会社 営業部長
業務内容:営業戦略立案、工事受注、契約管理、工程管理
抽象的な記載では審査で認められません。具体的な職務内容を明記することが重要です。
4. 経験年数の証明方法
経管要件を証明するには、経歴を裏付ける客観的な証拠が必要です。
4-1. 法人の役員の場合
証明書類:
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書) - 役員就任・退任の年月日が記載されている。経験年数の計算の基礎となる最重要書類です。
取得方法:
- 法務局で取得
- オンライン請求も可能
- 閉鎖登記簿謄本が必要な場合もあり
注意点:
- 現在の登記事項証明書だけでは過去の役員歴が分からない場合がある
- 5年以上前の役員歴を証明する場合は、閉鎖登記簿謄本が必要
4-2. 個人事業主の場合
証明書類:
- 確定申告書の控え(税務署受付印あり) - 営業所得があることを証明。建設業を営んでいたことの証拠となります。
- 工事請負契約書、注文書、請求書等 - 実際に建設業を営んでいたことを証明
注意点:
- 確定申告書に建設業の営業所得が記載されていることが必要
- 給与所得のみでは個人事業主としての経験は認められない
4-3. 執行役員、準ずる地位の場合
証明書類:
- 在籍証明書 - 勤務期間を証明
- 組織図 - 職制上の地位を証明
- 権限委任を証する書類(パターン2の場合) - 取締役会議事録、委任状、職務分掌規程
- 職務内容証明書 - 具体的な職務内容を証明
注意点:
- 単なる在籍証明だけでは不十分
- 経営業務を実際に担当していたことを具体的に証明する必要がある
4-4. 建設業に関する経験の証明
「建設業に関し」という要件を満たすため、その会社が建設業を営んでいたことを証明する必要があります。
証明書類:
- 建設業許可通知書の写し
- 工事実績を証する書類(契約書、注文書、請求書等)
- 確定申告書の事業内容欄
無許可業者の場合:
軽微な工事のみを施工していた無許可業者での経験も、建設業の経験として認められます。ただし、実際に建設工事を請け負っていたことを証明する必要があります。
![経営業務管理責任者とは?]()
5. 常勤性の証明
経管は「常勤」である必要があります。
5-1. 常勤性の要件
常勤とは:
- その営業所に常時勤務していること
- 原則として、その営業所以外で常勤を要する職務を兼ねていないこと
非常勤とみなされる例:
- 他社の常勤役員を兼務
- 他の営業所の専任技術者を兼務
- 公務員として常勤
5-2. 常勤性の証明書類
必要書類:
- 健康保険証の写し - 申請会社の健康保険に加入していることを証明。最も一般的な証明方法です。
- 住民票 - 営業所の近隣に居住していることを証明。通勤可能な範囲内であることが必要です。
- その他 - 雇用契約書、出勤簿、給与台帳
注意点:
- 健康保険証は、申請会社が保険者となっているものが必要
- 国民健康保険の場合は、常勤性の証明としては弱い
- 住民票の住所と営業所の所在地があまりに離れている場合は、通勤の合理性を説明する必要がある
![経営業務管理責任者とは?]()
6. よくある審査の指摘と対処法
経管要件の審査でよく指摘される事項と、その対処法を紹介します。
6-1. 経験年数が不足している
指摘例:
「登記上の役員就任日から計算すると、経験年数が4年11ヶ月しかなく、5年に満たない」
対処法:
- 他のパターンで要件を満たせないか検討
- パターン4-1またはパターン4-2を検討(補佐者を配置)
- 準ずる地位での経験を合算できないか確認
6-2. 経歴の空白期間がある
指摘例:
「令和○年○月から令和○年○月まで空白期間があり、この間の経験がカウントできない」
対処法:
- 空白期間の実態を調査
- 実際には役員として在籍していた場合は、その証明書類を追加提出
- 空白期間を除外して再計算し、なお5年以上あればOK
6-3. 建設業の経験であることの証明が不十分
指摘例:
「その会社が建設業を営んでいたことを証明する書類が不足している」
対処法:
- 工事実績を証する書類を追加提出(契約書、請求書等)
- 確定申告書の控え(建設業の売上が記載されているもの)を提出
- 建設業許可通知書の写し(許可業者の場合)を提出
6-4. 常勤性が疑われる
指摘例:
「健康保険証の事業所名が申請会社と異なる」
「住民票の住所が営業所から遠隔地にある」
対処法:
- 健康保険証:申請前に申請会社の健康保険に切り替える
- 住民票:通勤の合理性を説明する書類を追加(通勤経路図、通勤時間の説明等)
6-5. 補佐者の経験が不明確
指摘例:
「補佐者の職務内容が抽象的で、財務管理の実務経験があったか判断できない」
対処法:
- 015 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2)に、より具体的な職務内容を追記
- 組織図、職務分掌規程等の補足資料を追加
- 在籍証明書に具体的な職務内容を記載してもらう
6-6. 審査対策のポイント
審査での指摘を避けるためには、事前の確認が最重要です。
- チェックリストで要件を漏れなく確認 - チェックリスト001またはチェックリスト002を活用
- 証明書類を余裕を持って収集 - 登記事項証明書、確定申告書等は早めに取得。閉鎖登記簿謄本が必要な場合は取得に時間がかかります。
- 書式を丁寧に記入 - 011(様式第7号)または012(様式第7号の2)を正確に記入。013(様式第7号別紙)、014(様式第7号の2別紙1)、015(様式第7号の2別紙2)の経歴記載に空白期間がないか確認。年月日は正確に記入。具体的な職務内容を記載します。
- 予備審査を活用 - 都道府県によっては予備審査制度がある。事前に不備をチェックしてもらえます。
経管要件は、書類の正確性が勝負です。
実務経験豊富な行政書士が作成した「(特典付き)行政書士開業セット」には、011(様式第7号)・012(様式第7号の2)の詳細な記入例と、審査で指摘されやすいポイントが明記されており、初めての申請でも安心して取り組めます。
![経営業務管理責任者とは?]()
7. 実務ケーススタディ
実際の事例を通じて、経管要件の判断プロセスを学びましょう。
ケース1:従来型で要件を満たす典型例
顧客の状況:
- 法人(株式会社)
- 代表取締役が建設業の取締役として6年の経験あり
- 登記事項証明書で役員歴が明確
判断プロセス:
- パターン1(建設業の経管5年以上)に該当
- 011(様式第7号)を使用
- 登記事項証明書で証明可能
使用書式:
- 011 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)
- 013 常勤役員等略歴書(様式第7号別紙)
ポイント:
最もシンプルなケースです。登記事項証明書があれば証明は容易です。
ケース2:補佐者を活用する新制度の例
顧客の状況:
- 法人(株式会社)
- 代表取締役が建設業の役員として3年の経験あり(5年には不足)
- 同代表が、その前に他社で営業部長として5年の経験あり(業務運営の経験)
- 社内に経理部長(財務管理5年)、総務部長(労務管理5年)がいる
判断プロセス:
- パターン1では5年に不足
- パターン4-1を検討 - 建設業の役員3年:○(2年以上)、業務運営の経験5年:○(役員等に次ぐ地位で5年以上)、補佐者の配置:財務管理(経理部長)、労務管理(総務部長)、業務運営(代表自身が兼ねる)
- 012(様式第7号の2)を使用
使用書式:
- 012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2)
- 014 常勤役員等略歴書(様式第7号の2別紙1)
- 015 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2)(経理部長、総務部長の分)
ポイント:
補佐者を活用することで、従来なら許可を取得できなかった企業でも許可取得が可能になりました。
ケース3:個人事業主から法人成りしたケース
顧客の状況:
- 個人事業主として建設業を7年営業
- 3年前に法人化(株式会社設立)
- 現在は代表取締役として3年
判断プロセス:
- 個人事業主7年+法人役員3年=計10年の経験
- パターン1(建設業の経管5年以上)に該当
- 個人事業主時代の経験も合算可能
証明書類:
- 確定申告書(個人事業主時代の7年分)
- 登記事項証明書(法人役員3年分)
使用書式:
- 011 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)
- 013 常勤役員等略歴書(様式第7号別紙)(個人事業主時代と法人役員時代の両方を記載)
ポイント:
個人事業主時代の経験も、建設業の経営経験として認められます。確定申告書での証明が重要です。
![経営業務管理責任者とは?]()
まとめ
本記事では、建設業許可の第1要件である経営業務の管理責任者について詳しく解説しました。
押さえるべき重要ポイント
令和2年改正で要件が緩和
補佐者制度の導入で、より柔軟に要件を満たせるように。6つのパターンから最適なものを選択します。
書式の使い分け
従来型(パターン1〜3):011(様式第7号)と013(様式第7号別紙)
新制度(パターン4-1、4-2):012(様式第7号の2)、014(様式第7号の2別紙1)、015(様式第7号の2別紙2)
経験年数の正確な証明
登記事項証明書、確定申告書等の客観的証拠が必須。経歴の空白期間に注意します。
常勤性の証明
健康保険証、住民票で証明。他社との兼務は原則不可です。
実務で成功するための必須ツール
経管要件の確認と証明には、以下の書式が不可欠です。
要件確認:
- チェックリスト001またはチェックリスト002(経管部分)
証明書式(従来型):
- 011 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号)
- 013 常勤役員等略歴書(様式第7号別紙)
証明書式(新制度):
- 012 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2)
- 014 常勤役員等略歴書(様式第7号の2別紙1)
- 015 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2)
これらの書式を正確に記入できるかどうかが、経管要件をクリアできるかの分かれ目です。特に、012(様式第7号の2)は令和2年改正で新設された書式であり、記入方法が複雑です。
20年以上新人行政書士に使われ続けている「
行政書士開業セット」の書式集については、以下のページで詳しく解説しています。
これらの資料には、011(様式第7号)・012(様式第7号の2)の詳細な記入例、審査でよく指摘される事項、補佐者の選定方法など、実務で即使えるノウハウが凝縮されています。
![経営業務管理責任者とは?]()
次に読むべき記事
経管要件を理解したら、次は第2要件を学びましょう:
- 記事3:専任技術者の要件と実務経験証明の実務
- 記事4:誠実性・欠格要件の確認実務
- 記事6:社会保険加入要件の詳細