1.建設業許可とは?新人行政書士が知るべき制度の全体像・29業種・6つの許可要件を徹底解説



はじめに


建設業許可申請は、行政書士業務の中でも特に専門性が高く、実務経験が求められる分野です。新人行政書士の方にとって、建設業許可制度の全体像を正確に理解することは、この分野で成功するための第一歩となります。


本記事では、建設業許可制度の基本から、29業種の詳細、6つの許可要件まで、新人行政書士が押さえるべきポイントを体系的に解説します。この記事を読むことで、建設業許可申請業務の全体像を把握し、顧客への的確なアドバイスができるようになります。



建設業許可とは?


この記事で使う主な書式


建設業許可の全体像を理解するために、「(特典付き)行政書士開業セット」の中の以下の書式を使用します。これらの書式を正確に理解し、適切に活用することが、許可申請成功の鍵となります。


要件確認用チェックリスト


  • チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)
    一般建設業の6つの要件を漏れなく確認するための必須ツール

  • チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)
    特定建設業の厳しい要件を確実に満たしているか確認

  • チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)
    29業種の詳細説明と適切な業種選択のガイド


申請書本体


  • 様式第1号(建設業許可申請書)
    建設業許可申請の基本となる書式


これらの書式は、許可申請の「地図」のような役割を果たします。新人行政書士がこの業務に取り組む際、まずこれらの書式を手元に置き、全体像を把握することから始めるのが実務の王道です。



建設業許可とは?



1. 建設業許可制度とは


1-1. 建設業許可の目的と意義


建設業許可制度は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するために設けられた制度です。建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負う場合には、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けることが義務付けられています。


建設業許可を取得することで、業者は以下のメリットを得られます:


  • 500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負える
  • 社会的信用が向上し、受注機会が拡大する
  • 公共工事の入札に参加できる(経営事項審査を受ける必要あり)
  • 元請業者からの信頼を得やすくなる


行政書士として建設業許可申請を扱う際は、この制度の意義を顧客に正確に伝え、適切なアドバイスを提供することが重要です。


建設業許可とは?


1-2. 許可が必要な工事の基準


建設業許可が必要となるのは、以下の規模の建設工事を請け負う場合です:


建築一式工事の場合

  • 1件の請負代金が1,500万円以上の工事
  • または、延べ面積が150u以上の木造住宅工事


建築一式工事以外の場合

  • 1件の請負代金が500万円以上の工事


【重要な注意点】

  • 金額は税込で判断します
  • 材料費を含んだ請負代金の総額で判断します
  • 分割発注による脱法行為は建設業法違反となります


逆に言えば、上記の基準に満たない工事のみを請け負う場合は、建設業許可は不要です(これを「軽微な建設工事」といいます)。


ただし、許可を取得していない業者は、軽微な工事しか受注できないため、事業拡大に大きな制約が生じます。顧客に対しては、将来の事業展望も踏まえた許可取得のアドバイスが求められます。




2. 一般建設業許可と特定建設業許可の違い


建設業許可とは?


建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。この区分は、下請契約の規模によって決まります。


実務上の最初の判断ポイントとして、顧客がどちらの許可を取得すべきかを正確に見極めることが重要です。
ここで役立つのがチェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)
チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)です。


2-1. 一般建設業許可


対象となる業者:

  • 下請に出す工事の総額が5,000万円未満(建築一式工事は8,000万円未満)の場合
  • または、下請に出さない(自社施工のみ)場合


特徴:

  • ほとんどの建設業者はこちらに該当
  • 要件が特定建設業許可より緩やか
  • 取得しやすい


2-2. 特定建設業許可


対象となる業者:

  • 発注者から直接請け負った1件の工事について、下請に出す工事の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる場合


特徴:

  • 大規模工事の元請業者が対象
  • 財産的基礎の要件が厳しい(詳細は記事5参照)
  • 専任技術者の要件も厳しい(1級資格等が必要、詳細は記事3参照)


【令和7年2月1日改正について】
特定建設業許可が必要となる下請代金額の基準が引き上げられました。これにより、従来は特定建設業許可が必要だった規模の工事でも、一般建設業許可で対応できる場面が増えています。


工事種別 改正前(〜令和7年1月31日) 改正後(令和7年2月1日〜)
建築一式工事以外 4,500万円以上 5,000万円以上
建築一式工事 7,000万円以上 8,000万円以上


この改正は、建設工事費の高騰や人件費・物価上昇に対応したものです。実務上は、令和7年2月1日以降の申請では新基準が適用されます。


2-3. 一般と特定の比較表


項目 一般建設業許可 特定建設業許可
対象 下請総額5,000万円未満
(建築一式8,000万円未満)
下請総額5,000万円以上
(建築一式8,000万円以上)
専任技術者 2級資格、実務経験10年等 1級資格、指導監督的実務経験等
財産的基礎 自己資本500万円以上
または資金調達能力
4つの財務基準すべて満たす
(詳細は記事5参照)
下請保護 一般的な義務 下請代金の支払い等で
より厳格な義務
主な対象業者 専門工事業者、
中小元請業者
大手ゼネコン、
大規模元請業者


2-4. 実務上の確認方法


新人行政書士が顧客の相談を受けた際、一般と特定のどちらが必要かを判断するには、チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)を使用するのが確実です。


これらのチェックリストには、それぞれの許可に必要な要件が詳しく記載されており、顧客の状況と照らし合わせることで、適切な許可区分を判断できます。特に、財産的基礎や専任技術者の要件が大きく異なるため、最初の段階で正確に見極めることが重要です。


実務のポイント:

  • 同一業種で一般と特定の両方は取得できない
  • 異なる業種であれば可能(例:建築一式は一般、土木一式は特定)
  • 下請総額の計算は、発注者から直接請け負った1件の工事が対象
  • 自社施工分は含まない


顧客の受注形態を正確にヒアリングし、将来の事業展開も考慮したアドバイスが求められます。




3. 知事許可と大臣許可の違い


建設業許可は、営業所の設置場所によって「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」に分かれます。


建設業許可とは?


3-1. 都道府県知事許可


対象となる業者:

  • 1つの都道府県内にのみ営業所を設ける場合


申請先:

  • 営業所の所在地を管轄する都道府県知事


特徴:

  • 同一都道府県内であれば、複数の営業所を持っても知事許可
  • 審査期間は約30〜45日程度
  • 手数料:新規9万円(一般または特定)、一般と特定の両方は18万円


例:

  • 東京都内に本店と支店がある → 東京都知事許可
  • 大阪府内に本店のみ → 大阪府知事許可


3-2. 国土交通大臣許可


対象となる業者:

  • 2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合


申請先:

  • 主たる営業所(本店)の所在地を管轄する地方整備局


特徴:

  • 複数の都道府県で営業展開する大規模業者が対象
  • 審査期間は約90〜120日程度
  • 手数料:新規15万円(一般または特定のいずれか、または両方)


例:

  • 東京都に本店、神奈川県に支店 → 国土交通大臣許可
  • 大阪府に本店、京都府と兵庫県に支店 → 国土交通大臣許可


3-3. 営業所の定義


ここでいう「営業所」とは、以下の要件を満たす場所をいいます:


  1. 請負契約の締結権限を有する事務所
    見積り、入札、契約締結等を行う
  2. 常時建設工事の請負契約を締結する事務所
    継続的に営業活動を行っている
  3. 専任技術者を常勤で配置
    営業所ごとに専任技術者が必要


営業所に該当しない例:

  • 単なる作業所、倉庫
  • 登記上の本店でも実態がない場合
  • 連絡事務所のみの機能


3-4. 実務上の注意点


営業範囲の制限はない

  • 知事許可でも全国で工事可能
  • 許可区分は営業所の所在地のみで決まる


変更時の手続き

  • 知事許可から大臣許可への変更(またはその逆)は、「許可換え新規」という手続きが必要
  • 実質的には新規申請と同様の手続き


行政書士としては、顧客の現在の営業所配置だけでなく、将来の事業計画も考慮したアドバイスが求められます。




4. 建設業の29業種


建設業許可は、工事の種類ごとに29の業種に分類されています。それぞれの業種について許可を取得する必要があります。


業種選択は許可申請の最初の重要ステップであり、ここで間違えると、せっかく許可を取得しても実際に受注したい工事ができないという事態になりかねません。


業種の選択には、チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)が非常に役立ちます。このチェックリストには、29業種それぞれの工事内容、具体的な例示、判断基準が詳しく記載されており、顧客が実際に施工する工事内容と照らし合わせることで、適切な業種を選択できます。


建設業許可とは?


4-1. 2つの一式工事


一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建設工作物を建設する工事です。複数の専門工事を組み合わせた大規模で複雑な工事が対象となります。


1. 土木工事業(土木一式工事)


工事の内容:

総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事


例示:

道路工事、橋梁工事、ダム工事、トンネル工事、河川工事、港湾工事、空港工事、鉄道工事、上下水道工事


2. 建築工事業(建築一式工事)


工事の内容:

総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事


例示:

住宅の新築工事、ビルの新築工事、工場の新築工事、倉庫の新築工事、学校の新築工事、病院の新築工事


重要な注意点:

一式工事の許可があっても、専門工事を単独で請け負うことはできません。例えば、建築一式工事の許可だけでは、内装工事のみを請け負うことはできません。


この点は顧客によく誤解されるポイントです。チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)には、このような注意点も明記されており、顧客への説明資料としても活用できます。



4-2. 27の専門工事


専門工事は、特定の専門技術を要する工事です。以下、全27業種を解説します(各業種の詳細な工事例はチェックリスト003(建設工事と建設業の種類)に記載されています)。


3. 大工工事業


工事の内容:

木材の加工または取付けにより工作物を築造し、または工作物に木製設備を取付ける工事


例示:

大工工事、型枠工事、造作工事


4. 左官工事業


工事の内容:

工作物に壁土、モルタル、漆喰、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、またははり付ける工事


例示:

左官工事、モルタル工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事


5. とび・土工工事業


工事の内容:

足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事、くい打ち、土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事


例示:

とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリート打設工事、土工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土止め工事、杭打ち工事、杭抜き工事、場所打ち杭工事


注意:

解体工事は平成28年6月より独立した業種(29番)となりましたが、とび・土工工事業の許可でも経過措置により施工可能です。


6. 石工事業


工事の内容:

石材の加工または積方により工作物を築造し、または工作物に石材を取付ける工事


例示:

石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事


7. 屋根工事業


工事の内容:

瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事


例示:

屋根ふき工事


8. 電気工事業


工事の内容:

発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事


例示:

発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事


9. 管工事業


工事の内容:

冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、または金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事


例示:

冷暖房設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、衛生設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事


10. タイル・れんが・ブロック工事業


工事の内容:

れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、または工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、またははり付ける工事


例示:

タイル張り工事、れんが積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事


11. 鋼構造物工事業


工事の内容:

形鋼、鋼板等の鋼材の加工または組立てにより工作物を築造する工事


例示:

鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門・水門等の門扉設置工事


12. 鉄筋工事業


工事の内容:

棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、または組立てる工事


例示:

鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事


13. 舗装工事業


工事の内容:

道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事


例示:

アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事


14. しゅんせつ工事業


工事の内容:

河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事


例示:

しゅんせつ工事


15. 板金工事業


工事の内容:

金属薄板等を加工して工作物に取付け、または工作物に金属製等の付属物を取付ける工事


例示:

板金加工取付け工事、建築板金工事


16. ガラス工事業


工事の内容:

工作物にガラスを加工して取付ける工事


例示:

ガラス工事


17. 塗装工事業


工事の内容:

塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、またははり付ける工事


例示:

塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事


18. 防水工事業


工事の内容:

アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事


例示:

アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事


19. 内装仕上工事業


工事の内容:

木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事


例示:

インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事


20. 機械器具設置工事業


工事の内容:

機械器具の組立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取付ける工事


例示:

プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊戯施設設置工事、舞台装置設置工事


21. 熱絶縁工事業


工事の内容:

工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事


例示:

冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備または燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事


22. 電気通信工事業


工事の内容:

有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事


例示:

電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事


23. 造園工事業


工事の内容:

整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、または植生を復元する工事


例示:

植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事


24. さく井工事業


工事の内容:

さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事またはこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事


例示:

さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事


25. 建具工事業


工事の内容:

工作物に木製または金属製の建具等を取付ける工事


例示:

金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事


26. 水道施設工事業


工事の内容:

上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事または公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事


例示:

取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事


27. 消防施設工事業


工事の内容:

火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取付ける工事


例示:

屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧・泡・不活性ガス・蒸発性液体または粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋または排煙設備の設置工事


28. 清掃施設工事業


工事の内容:

し尿処理施設またはごみ処理施設を設置する工事


例示:

ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事


29. 解体工事業(平成28年6月新設)


工事の内容:

工作物の解体を行う工事


例示:

工作物解体工事


重要な注意点:

平成28年6月1日に解体工事業が新設されましたが、経過措置として以下の取扱いがあります。


  • とび・土工工事業の許可を持っている業者は、当分の間、解体工事を施工可能
  • ただし、令和元年6月以降に新規に許可を取得する場合は、解体工事を行うには解体工事業の許可が必要




4-3. 29業種一覧表


番号 業種名 主な工事内容
1 土木工事業 総合的な土木工作物の建設
2 建築工事業 総合的な建築物の建設
3 大工工事業 木工事全般
4 左官工事業 壁塗り工事
5 とび・土工工事業 足場、鉄骨組立、土工事
6 石工事業 石材加工・設置
7 屋根工事業 屋根ふき工事
8 電気工事業 電気設備工事
9 管工事業 配管・空調設備
10 タイル・れんが・ブロック工事業 タイル張り等
11 鋼構造物工事業 鉄骨構造物
12 鉄筋工事業 鉄筋組立
13 舗装工事業 道路舗装
14 しゅんせつ工事業 水底掘削
15 板金工事業 金属板加工
16 ガラス工事業 ガラス取付
17 塗装工事業 塗装工事
18 防水工事業 防水工事
19 内装仕上工事業 内装工事
20 機械器具設置工事業 機械設備設置
21 熱絶縁工事業 断熱工事
22 電気通信工事業 通信設備
23 造園工事業 造園・緑化
24 さく井工事業 井戸掘削
25 建具工事業 建具取付
26 水道施設工事業 上下水道施設
27 消防施設工事業 消防設備
28 清掃施設工事業 ごみ・し尿処理施設
29 解体工事業 解体工事


4-4. 業種選択の実務ポイント


複数業種の取得が可能


  • 1回の申請で複数業種を同時に取得できる
  • 後から業種を追加することも可能(業種追加申請)


業種選択の注意点


  • 実際に施工する工事に対応した業種を取得する
  • 一式工事だけでは専門工事を単独で請け負えない
  • 顧客の将来の事業展開も考慮してアドバイス


チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)


実務では、顧客が「うちは何の業種を取ればいいの?」と迷うケースが非常に多くあります。このとき、チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)があれば、顧客と一緒に確認しながら、適切な業種を選択できます。


このチェックリストには、各業種の詳細な説明だけでなく、「この工事はどの業種?」という判断に迷いやすいケースについても記載されており、新人行政書士にとって心強い味方となります。


正確な業種選択ができなければ、どれだけ他の書類を完璧に作成しても、許可申請は成功しません。逆に言えば、このチェックリストを活用することで、業種選択のミスを防ぎ、確実な許可取得につながります。




建設業許可とは?


5. 建設業許可の6つの要件


建設業許可を取得するには、以下の6つの要件をすべて満たす必要があります。令和2年10月の建設業法改正により、従来の5要件に加えて「適正な社会保険への加入」が第6の要件として追加されました。


6要件の確認は、許可申請の成否を左右する最重要ポイントです。
ここで役立つのが、チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)です。



建設業許可とは?


5-1. 6要件の全体構造


建設業許可の6要件

├─【要件1】経営業務の管理責任者等の設置
│ └─ 建設業の経営経験を持つ常勤役員等の配置

├─【要件2】営業所ごとの専任技術者の設置
│ └─ 一定の資格または実務経験を持つ技術者の配置

├─【要件3】誠実性
│ └─ 不正・不誠実な行為をするおそれがないこと

├─【要件4】財産的基礎・金銭的信用
│ └─ 一定の財産的基礎を有すること

├─【要件5】欠格要件に非該当
│ └─ 破産者、暴力団員等の欠格事由に該当しないこと

└─【要件6】適正な社会保険への加入(令和2年10月追加)
└─ 健康保険、厚生年金、雇用保険への適切な加入

5-2. 各要件の概要



要件1:経営業務の管理責任者等の設置



建設業の経営経験を持つ常勤の役員等を置くことが必要です。令和2年改正により、要件が緩和され、補佐者を置くことで経験年数を短縮できるようになりました。


確認方法:
チェックリスト001またはチェックリスト002の「経営業務の管理責任者等」の項目を確認


詳細は記事2で解説します。


要件2:営業所ごとの専任技術者の設置


各営業所に、一定の資格または実務経験を持つ技術者を常勤で配置することが必要です。


確認方法:
チェックリスト001またはチェックリスト002の「専任技術者」の項目を確認


詳細は記事3で解説します。


建設業許可とは?


要件3:誠実性


請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要です。


確認方法:
チェックリスト001またはチェックリスト002の「誠実性」の項目を確認


詳細は記事4で解説します。


要件4:財産的基礎・金銭的信用


一般建設業は500万円以上の自己資本等、特定建設業は4つの厳しい財務基準を満たすことが必要です。


確認方法:
チェックリスト001またはチェックリスト002の「財産的基礎」の項目を確認


詳細は記事5で解説します。


要件5:欠格要件に非該当


破産者で復権を得ない者、暴力団員等、一定の欠格要件に該当しないことが必要です。


確認方法:
チェックリスト001またはチェックリスト002の「欠格要件」の項目を確認


詳細は記事4で解説します。


建設業許可とは?


要件6:適正な社会保険への加入(令和2年10月追加)


健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、加入義務がある場合は適切に加入していることが必要です。


確認方法:
チェックリスト001またはチェックリスト002の「適正な社会保険への加入」の項目を確認


詳細は記事6で解説します。


建設業許可とは?


5-3. チェックリストを使った要件確認の実務


新人行政書士が最初に顧客の相談を受けた際、まずやるべきことは「6要件をすべて満たしているか」の確認です。


ここで威力を発揮するのが、チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)です。



要件確認の実務の流れ


  • STEP
    顧客が一般か特定か判断
  • STEP
    該当するチェックリストを使用
  • STEP
    6要件を1つずつ確認
  • STEP
    満たしていない要件があれば、どう対応するか検討
  • STEP
    すべて満たしていれば、申請準備に進む



チェックリストの実務的価値


このチェックリストには、各要件の詳細な判断基準が記載されています。たとえば、


  • 経営業務の管理責任者はどのような経験年数が必要か
  • 専任技術者はどのような資格・実務経験が必要か
  • 財産的基礎は具体的にどの数値基準を満たせばよいか
  • 社会保険はどのような場合に加入義務があるのか


これらが具体的に記載されているため、新人行政書士でも自信を持って顧客に説明でき、要件の確認漏れを防ぐことができます。


実務経験豊富な行政書士が作成した「(特典付き)行政書士開業セット」の書式集には、これらのチェックリストが含まれており、初めての建設業許可申請でも漏れなく要件確認ができるよう設計されています。



6. 建設業許可申請から許可までの流れ


建設業許可申請の全体的な流れを理解しておくことは、顧客への適切なアドバイスとスケジュール管理に不可欠です。


6-1. 申請の全体フロー


【STEP 1】要件確認・ヒアリング
↓(チェックリスト001、002を使用)
【STEP 2】必要書類の収集
↓(記事7参照)
【STEP 3】申請書類の作成
↓(様式第1号等、記事8参照)
【STEP 4】予備審査(都道府県による)

【STEP 5】本申請の提出

【STEP 6】審査(補正対応)

【STEP 7】許可通知書の受領

【STEP 8】許可後の手続き


6-2. 各ステップの概要



STEP 1:要件確認・ヒアリング



この段階で使用する書式:


  • チェックリスト001またはチェックリスト002
  • チェックリスト003(業種選択)


6つの許可要件をすべて満たしているか確認し、一般か特定か、知事許可か大臣許可か判断し、必要な業種を選択します。


STEP 2:必要書類の収集


  • 登記事項証明書、身分証明書等の公的証明書
  • 資格証、卒業証明書等の技術者関係書類
  • 工事実績を証明する書類
  • 財務諸表、納税証明書
  • ※詳細は記事7で解説


STEP 3:申請書類の作成


この段階で使用する書式:


  • 様式第1号(建設業許可申請書)【様式001〜】
  • その他、様式第2号〜第22号の4(該当するもの)【様式007〜】


申請書本体と添付書類を作成します。


  • ※詳細は記事8で解説


STEP 4:予備審査


  • 都道府県によって有無が異なる
  • 事前に不備をチェック


STEP 5:本申請の提出


  • 提出先:都道府県または地方整備局
  • 手数料の納付


STEP 6:審査


  • 知事許可:30〜45日程度
  • 大臣許可:90〜120日程度
  • 補正対応が必要な場合あり


STEP 7:許可通知書の受領


  • 許可番号の付与
  • 許可通知書の交付


STEP 8:許可後の手続き


  • 営業所への許可証の掲示
  • 変更届の提出体制整備
  • 決算変更届の準備


6-3. 審査期間の目安


許可区分 標準処理期間 備考
知事許可(新規) 30〜45日 都道府県により異なる
知事許可(更新) 30日程度 都道府県により異なる
大臣許可(新規) 90〜120日 地方整備局による
大臣許可(更新) 90日程度 地方整備局による



【実務上の注意点】

  • 予備審査の期間は別途必要
  • 補正がある場合は更に時間がかかる
  • 繁忙期(年度末等)は遅延する可能性
  • 余裕を持ったスケジュール設定が重要


6-4. 様式第1号(建設業許可申請書)の重要性


申請書類の中核となるのが様式第1号(建設業許可申請書)です。


この書式には、以下の重要な情報を記載します:


  • 許可区分(一般/特定、知事/大臣、新規/更新等)
  • 申請する業種
  • 商号または名称
  • 代表者氏名
  • 主たる営業所の所在地
  • その他基本情報


様式第1号の記載内容は、他のすべての書式の基礎となります。ここで間違えると、連鎖的に他の書式にも影響が出るため、最も注意深く作成する必要があります。


詳細な記入方法については記事8で解説しますが、新人行政書士にとっては、正確な記入例や注意点が記載された書式集を手元に置いて作業することが、ミスを防ぐ最も確実な方法です。



7. 法改正の影響について


建設業許可申請実務では、法改正の内容を正確に把握しておくことが重要です。主要な改正を確認しておきましょう。


7-1. 令和2年10月改正


主な内容:

  1. 経営業務の管理責任者の要件緩和
  2. 社会保険加入の義務化(第6の要件として追加)


実務への影響:

  • 経管要件が緩和され、許可を取得しやすくなった
  • 社会保険に未加入の場合は許可を取得できなくなった
  • 詳細は記事2(経管)、記事6(社会保険)で解説


7-2. 令和6年12月改正


主な内容:

契約実務の規制強化(労務費の基準、工期ダンピング防止等)


実務への影響:

  • 許可申請の要件や手続きには変更なし
  • 許可取得後の契約実務に影響


7-3. 令和7年2月改正


主な内容:

特定建設業許可の下請代金額の基準引き上げ


実務への影響:

  • 一般と特定の区分判断に影響(本記事第2章で解説済み)
  • 許可申請の手続き自体には変更なし


これらの法改正に対応した最新の書式と解説を使用することで、確実な許可申請が可能になります。



建設業許可とは?


まとめ


本記事では、建設業許可制度の全体像について解説しました。重要なポイントを再確認しましょう。


押さえるべき重要ポイント


建設業許可の基本


  • 500万円以上(建築一式1,500万円以上)の工事に必要
  • 一般建設業と特定建設業の違いを理解
  • 知事許可と大臣許可は営業所の所在地で決まる


29業種の理解


  • 2つの一式工事と27の専門工事
  • 一式工事だけでは専門工事を単独で請け負えない
  • チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)で正確な業種選択を


6つの許可要件


  • 令和2年10月から社会保険加入が第6の要件に
  • すべての要件を満たすことが必須
  • チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)で漏れなく確認


申請の流れ


  • STEP 1の要件確認が最重要
  • 様式第1号(建設業許可申請書)が申請書類の中核
  • 審査期間を考慮したスケジュール管理


実務で成功するための必須ツール


建設業許可申請は、正確な要件確認と丁寧な書類作成が求められる専門性の高い業務です。本記事で紹介した以下の書式は、実務の必須ツールです:


【必ず手元に置くべき書式】


  • チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)
  • チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)
  • チェックリスト003(建設工事と建設業の種類)
  • 様式第1号(建設業許可申請書)


これらの書式がなければ、顧客の相談を受けても、何から確認すればよいのか分からず、要件の見落としや業種選択のミスにつながります。逆に、これらの書式を正しく使いこなせれば、新人行政書士でも自信を持って建設業許可申請業務に取り組めます。


20年以上新人行政書士に使われ続けている「行政書士開業セット」の書式集については、以下のページで詳しく解説しています。


これらの資料を活用することで、建設業許可申請業務を効率的にマスターし、顧客に信頼される行政書士として活躍できるようになります。


次に読むべき記事


建設業許可の全体像を理解したら、次は各要件の詳細を学びましょう:


  • 記事2:経営業務の管理責任者(第1要件)の詳細
  • 記事3:専任技術者(第2要件)の詳細
  • 記事4:誠実性・欠格要件(第3・第5要件)の詳細
  • 記事5:財産的基礎(第4要件)の詳細
  • 記事6:社会保険加入(第6要件)の詳細
  • 記事7:必要書類と効率的な収集方法
  • 記事8:申請書の書き方と記入実務


 
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