3.建設業許可の「専任技術者」を徹底解説!資格・実務経験10年・指定学科による証明方法と申請実務のポイント


このページの目次


はじめに


建設業許可の6要件の第2要件が「営業所ごとの専任技術者の設置」です。専任技術者(以下「専技」)は、建設工事の適正な施工を技術面から担保するために、各営業所に配置が義務付けられています。


専技要件は、一般建設業と特定建設業で大きく異なり、特定建設業では1級国家資格や指導監督的実務経験が求められるなど、要件が厳格化されます。また、実務経験による証明には10年(指定学科卒業者は短縮あり)という長期間の経験が必要で、その証明方法も複雑です。


本記事では、新人行政書士が専技要件を正確に理解し、顧客に適切なアドバイスができるよう、資格・実務経験・指定学科による証明方法、そして令和7年2月改正で変更された監理技術者の配置基準まで、実務目線で詳しく解説します。


専任技術者


この記事で使う主な書式


専技要件の確認と証明には、「(特典付き)行政書士開業セット」の中の以下の書式を使用します。これらの書式を正確に作成し、適切な添付書類を揃えることが、許可申請成功の鍵となります。


専技の証明書式

  • 017 専任技術者証明書(様式第8号) - 専技の基本情報と資格・経験を証明する書式。すべての専技について作成が必要
  • 018 実務経験証明書(様式第9号) - 国家資格を持たない場合に実務経験10年を証明。指定学科卒業者は3年(大卒)または5年(高卒)
  • 019 指導監督的実務経験証明書(様式第10号) - 特定建設業許可で必要(一般の専技要件+指導監督的実務経験)。元請として4,500万円以上の工事の指導監督経験を証明


専技一覧表

  • 006 専任技術者一覧表(様式第1号別紙4) - 営業所ごとの専技を一覧にまとめる。複数業種・複数営業所の場合は正確な記載が必須


要件確認用チェックリスト

  • チェックリスト001(一般建設業許可要件チェックリスト)の該当部分
  • チェックリスト002(特定建設業許可要件チェックリスト)の該当部分


専技要件は、「どの証明方法を使うか」の判断が非常に重要です。国家資格があれば話は早いですが、資格がない場合は実務経験10年の証明が必要で、その裏付け資料の収集に時間がかかります。これらの書式を正確に作成できるかが、審査通過の分かれ目です。


1. 専任技術者とは


専任技術者


1-1. 専技の定義と役割


専任技術者(専技)とは、営業所に常勤し、その営業所で請け負う建設工事について技術上の管理を行う者です。


なぜ専技が必要か?


建設工事は高度な専門技術を要するため、適切な技術的判断ができる人材が営業所に常駐していることが必要です。専技は、請負契約の締結から施工、完成に至るまで、技術面での責任を担います。


専技の要件が求めるもの:

  • 一定の国家資格または実務経験
  • 常勤性(その営業所に常勤していること)
  • 専任性(その営業所に専ら従事していること)


専任技術者


1-2. 営業所ごとの配置義務


重要なポイント:

  • 専技は「営業所ごと」に配置が必要
  • 「業種ごと」にも必要(1人で複数業種を兼ねることは可能)


具体例:

  • 本店で土木と建築の2業種を営業 → 本店に土木と建築の専技が必要(1人で両方の資格があれば兼任可能)
  • 本店と支店の2営業所 → それぞれの営業所に専技が必要


1-3. 経管との兼任


専技は経管と兼任できます。ただし、両方の要件を満たす必要があります。


兼任の条件:

  • 経管の要件(記事2参照)を満たしている
  • 専技の要件を満たしている
  • 同一営業所での兼任のみ可能


実務のポイント:
中小企業では、社長が経管と専技を兼任するケースが多くあります。


2. 一般建設業の専任技術者要件


一般建設業の専技になるには、以下の3つのパターンのいずれかを満たす必要があります。


専任技術者


2-1. パターン@:国家資格者


専任技術者


要件:
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、国土交通大臣が定める学科を修めて高等学校を卒業後5年以上、専門学校を卒業後3年以上、または大学を卒業後3年以上の実務経験を有する者と同等以上の知識及び技術を有する者として国土交通大臣が認定した者


具体的には:

  • 1級・2級施工管理技士
  • 1級・2級建築士
  • 技術士
  • その他、業種ごとに指定された国家資格


主要な国家資格の例:


資格名 対応業種
1級建築施工管理技士 建築一式
2級建築施工管理技士(建築) 建築一式
1級土木施工管理技士 土木一式
2級土木施工管理技士(土木) 土木一式
1級電気工事施工管理技士 電気
2級電気工事施工管理技士 電気
1級管工事施工管理技士
2級管工事施工管理技士


証明方法:

  • 017(様式第8号)に資格名、取得年月日、資格者証番号を記載
  • 資格者証または合格証明書の写しを添付


実務のポイント:
国家資格による証明が最も簡単で確実です。資格があれば、実務経験の証明は不要です。


2-2. パターンA:実務経験10年


専任技術者


要件:
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、10年以上の実務経験を有する者


実務経験とは:
建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいいます。


実務経験に含まれるもの:

  • 建設工事の施工を指揮・監督した経験
  • 建設工事の施工に携わった経験(作業員としての経験も含む)
  • 建設工事の注文者側での現場監督等の経験


実務経験に含まれないもの:

  • 単なる雑務(事務、経理、営業等)
  • 建設工事に直接関係のない業務


証明方法:

  • 017(様式第8号)と018(様式第9号)を作成
  • 10年分の実務経験を証明する書類を添付


実務のポイント:
実務経験10年の証明は、裏付け資料の収集が大変です。契約書、注文書、請求書等、実際に建設工事に従事していたことを証明する資料を可能な限り揃える必要があります。


2-3. パターンB:指定学科+実務経験(短縮)


専任技術者


要件:
国土交通大臣が定める学科を修めて卒業後、一定期間以上の実務経験を有する者


必要な実務経験年数:

  • 大学・高等専門学校卒業:3年以上
  • 高等学校・専門学校(専門士)卒業:5年以上


指定学科とは:
各建設業種に対応した工学系の学科です。


主要な指定学科の例:


建設業種 指定学科
土木一式 土木工学、都市工学、衛生工学等
建築一式 建築学、都市工学等
大工 建築学、林学等
電気 電気工学、電気通信工学等
土木工学、建築学、機械工学、衛生工学等


証明方法:

  • 017(様式第8号)と018(様式第9号)を作成
  • 卒業証明書(指定学科が明記されたもの)を添付
  • 卒業後3年または5年の実務経験を証明


実務のポイント:
指定学科を卒業していれば、実務経験が10年から3年(大卒)または5年(高卒)に短縮されます。ただし、卒業証明書に学科名が明記されている必要があります。


2-4. 複数業種の特例


1人の専技が複数業種を兼ねることができます。


兼任の条件:

  • 各業種について、それぞれ専技要件を満たしている
  • 同一営業所であること


具体例:

  • 1級建築施工管理技士かつ1級土木施工管理技士 → 建築一式と土木一式を兼任可能
  • 大工の実務経験10年かつ内装の実務経験10年 → 大工と内装を兼任可能


実務のポイント:
複数業種を兼任する場合は、006(様式第1号別紙4)で明確に記載する必要があります。


3. 特定建設業の専任技術者要件


特定建設業の専技は、一般建設業よりも厳格な要件が課されます。


専任技術者


3-1. 特定建設業の専技要件(2つのルート)


特定建設業の専技になるには、以下のいずれかを満たす必要があります。


ルート@:1級国家資格者

  • 1級施工管理技士
  • 1級建築士
  • 技術士
  • その他、国土交通大臣が認定した者


ルートA:一般の専技要件+指導監督的実務経験

  • 一般建設業の専技要件(上記2-1〜2-3のいずれか)を満たす
  • かつ、発注者から直接請け負った建設工事で、請負代金が4,500万円以上の工事について、監理技術者・主任技術者として2年以上の指導監督的実務経験を有する


専任技術者


3-2. 指導監督的実務経験とは


定義:
建設工事の設計、施工の全般にわたって、工事現場主任または工事現場監督者のような資格で、工事の技術面を総合的に指導監督した経験


対象となる工事:

  • 発注者から直接請け負った工事(元請工事)
  • 請負代金が4,500万円以上の工事


重要:令和7年2月改正について


指導監督的実務経験の対象となる工事の金額基準は、令和7年2月改正でも変更されていません。一貫して4,500万円以上が基準です。


混同しやすい他の金額基準:


令和7年2月1日の建設業法施行令改正では、別の金額基準が引き上げられましたが、指導監督的実務経験の基準は変更されていません。


項目 金額基準 令和7年2月改正
指導監督的実務経験の対象工事 4,500万円以上 改正なし
特定建設業許可が必要な下請代金額 5,000万円以上(建築一式8,000万円以上) 改正あり(4,500万円→5,000万円)
専任監理技術者の配置が必要な工事 4,500万円以上(建築一式9,000万円以上) 改正あり(4,000万円→4,500万円)


証明方法:

  • 017(様式第8号)と019(様式第10号)を作成
  • 4,500万円以上の工事の契約書、注文書、請求書等を添付


実務のポイント:
指導監督的実務経験は、元請として大規模工事を担当した経験が必要です。下請工事での経験は認められません。金額基準は「4,500万円以上」で、令和7年2月改正でも変更されていない点に注意してください。


専任技術者


3-3. 一般と特定の専技要件比較表


項目 一般建設業 特定建設業
国家資格 1級・2級施工管理技士
1級・2級建築士等
1級施工管理技士
1級建築士等
(2級は不可)
実務経験 10年
(指定学科卒業で短縮可)
不可
指導監督的
実務経験
不要 一般の専技要件
+
4,500万円以上の工事で
2年以上の経験


重要なポイント:
特定建設業の専技は、原則として1級国家資格が必要です。実務経験のみでは特定建設業の専技にはなれません(指導監督的実務経験との組み合わせが必要)。


4. 国家資格による証明方法


4-1. 資格者証の確認


確認すべき事項:

  • 資格名称
  • 取得年月日
  • 資格者証番号
  • 資格の有効期限(ある場合)


注意点:

  • 資格者証の原本を確認し、写しを添付
  • 資格者証に顔写真があることを確認
  • 合格証明書と資格者証は異なる(資格者証の方が望ましい)


4-2. 業種ごとの対応資格


各業種に対応する国家資格は、国土交通省告示で定められています。主要な資格は前述の通りですが、詳細はチェックリスト001または002の専技部分に記載されています。


実務のポイント:
顧客が持っている資格が、申請する業種に対応しているか必ず確認してください。対応していない資格では専技になれません。


5. 実務経験の証明方法


5-1. 実務経験の計算


計算方法:

  • 月単位で計算
  • 重複期間は二重にカウントしない
  • 異なる業種の実務経験は別々にカウント


実務経験にカウントできる期間:

  • 建設業許可を受けた業者での経験
  • 無許可業者での経験(軽微な工事のみを施工)
  • 自社での経験
  • 他社での経験


実務経験にカウントできない期間:

  • 建設業以外の業種での経験
  • 建設工事に直接関係のない事務・営業等の業務


5-2. 実務経験証明書(様式第9号)の記入方法


018 実務経験証明書(様式第9号の記入は、実務経験証明の核心部分です。


記入項目:


1. 被証明者の情報

  • 氏名、生年月日、住所


2. 実務経験の期間と内容

  • 期間:自○年○月 至○年○月
  • 従事した建設工事の種類
  • 従事した建設工事の内容(具体的に記載)
  • 事業所の名称、所在地


3. 証明者の情報

  • 氏名、印鑑
  • 証明者と被証明者の関係


記入例:


期間:令和10年4月〜令和15年3月(5年間)
建設工事の種類:建築一式工事
工事の内容:住宅新築工事における大工作業、型枠工事、内装工事
事業所名:○○建設株式会社
証明者:代表取締役 ○○○○(雇用主)


実務のポイント:

  • 工事の内容は具体的に記載(「建設工事一般」等の抽象的な記載は不可)
  • 複数の会社での経験がある場合は、それぞれの期間と内容を記載
  • 証明者は、実際に被証明者の仕事ぶりを知っている人が望ましい


5-3. 実務経験の裏付け資料


実務経験を証明するには、客観的な裏付け資料が必要です。


主要な裏付け資料:


1. 工事請負契約書

  • 最も有力な証拠


2. 注文書・請書

  • 契約書がない場合


3. 請求書・領収書

  • 工事代金の授受を証明


4. 工事台帳

  • 自社で作成した工事記録


5. 健康保険証・雇用保険被保険者証

  • その会社に在籍していたことを証明


6. 源泉徴収票・給与明細

  • 雇用関係を証明


実務のポイント:
10年分の裏付け資料を完璧に揃えるのは困難な場合が多いです。可能な限り多くの資料を収集し、途切れなく実務経験があったことを証明する努力が必要です。


5-4. 指定学科卒業者の実務経験証明


指定学科卒業者は、実務経験が短縮されますが、その分厳格な証明が求められます。


必要書類:

  • 卒業証明書(学科名が明記されたもの)
  • 成績証明書(学科名の確認のため、求められる場合がある)
  • 018(様式第9号)
  • 3年または5年分の実務経験の裏付け資料


注意点:

  • 卒業証明書に「○○学科」と明記されていることが必須
  • 「工学部」だけでは不十分(学科名が必要)
  • 卒業証明書が古い場合、学科名が変更されていることがあるため確認が必要


専任技術者


6. 指導監督的実務経験の証明


特定建設業の専技になるために必要な指導監督的実務経験の証明は、一般の実務経験証明よりも厳格です。


6-1. 指導監督的実務経験証明書(様式第10号)の記入方法


019 指導監督的実務経験証明書(様式第10号)は、特定建設業専技の証明に必須です。


記入項目:


1. 被証明者の情報

  • 氏名、生年月日


2. 指導監督した工事の詳細

  • 工事名
  • 工事場所
  • 注文者
  • 請負代金の額(4,500万円以上であることが必要)
  • 工期(自○年○月 至○年○月)
  • 主任技術者または監理技術者としての従事期間
  • 指導監督の内容(具体的に記載)


3. 証明者の情報

  • 氏名、印鑑
  • 証明者と被証明者の関係


記入例:


工事名:○○マンション新築工事
工事場所:東京都○○区○○
注文者:○○不動産株式会社
請負代金:80,000千円
工期:令和3年4月〜令和4年3月
従事期間:令和3年4月〜令和4年3月(1年間)・監理技術者
指導監督の内容:設計図書の検討、施工計画の立案、下請業者の技術指導、工程管理、品質管理、安全管理等の統括


実務のポイント:

  • 請負代金が4,500万円以上であることを明確に証明
  • 監理技術者または主任技術者として配置されていたことを証明
  • 指導監督の内容を具体的に記載(抽象的な記載は不可)


6-2. 指導監督的実務経験の裏付け資料


必要書類:


1. 工事請負契約書

  • 請負代金が4,500万円以上であることを証明


2. 施工体制台帳

  • 監理技術者として配置されていたことを証明


3. 監理技術者資格者証

  • 監理技術者講習受講証明書


4. 工事経歴書、工事台帳

  • 自社作成資料


注意点:

  • 元請工事であることが必須
  • 下請工事での経験は認められない
  • 2年以上の経験が必要(複数の工事の合算可)


7. 専任性の証明


専技は、その営業所に「専ら従事」していることが必要です。


7-1. 専任性の要件


専任とは:

  • その営業所に常勤していること
  • 他の営業所や他社の専技等を兼ねていないこと


専任性が認められないケース:

  • 他社の専技を兼務
  • 同一会社の他の営業所の専技を兼務
  • 現場に常駐する監理技術者・主任技術者を兼務(原則として不可)


例外:

  • 経管との兼任は可能(同一営業所内)
  • 同一営業所内で複数業種の専技を兼任は可能


7-2. 専任性の証明書類


必要書類:


1. 健康保険証の写し

  • 申請会社の健康保険に加入


2. 住民票

  • 営業所の近隣に居住


3. 雇用契約書

  • 雇用関係を証明


注意点:

  • 健康保険証は、申請会社が保険者となっているものが必要
  • 住民票の住所と営業所の所在地が著しく離れている場合は、通勤の合理性を説明


専任技術者


8. 監理技術者の配置基準(令和7年2月改正)


工事現場に配置する監理技術者の基準も、令和7年2月1日に改正されました。


8-1. 専任監理技術者の配置基準の改正


専任監理技術者の配置が必要な工事:


工事種別 改正前(〜令和7年1月31日) 改正後(令和7年2月1日〜)
建築一式工事以外 請負代金4,000万円以上 請負代金4,500万円以上
建築一式工事 請負代金8,000万円以上 請負代金9,000万円以上


改正の背景:
建設工事費の高騰、人件費・物価上昇に対応し、現行の基準が実態と乖離していることから見直されました。


実務への影響:

  • 4,500万円未満(建築一式は9,000万円未満)の工事では、主任技術者の配置で足りる
  • 専任監理技術者を配置しなければならない工事の範囲が狭まった


8-2. 特定専門工事の対象上限(令和7年2月改正)


型枠工事・鉄筋工事については、特定専門工事として特例が設けられています。


特定専門工事とは:
特定建設業者が元請として受注した工事のうち、型枠工事または鉄筋工事について、一定の条件を満たす場合に、下請業者の主任技術者の配置を不要とすることができる制度


対象上限の改正:


項目 改正前(〜令和7年1月31日) 改正後(令和7年2月1日〜)
特定専門工事(型枠・鉄筋)の下請代金額上限 4,000万円未満 4,500万円未満


実務上の意味:
型枠工事・鉄筋工事については、下請代金額が4,500万円未満であれば、特定建設業許可を持つ元請が一定の条件下で下請業者の主任技術者の配置を不要とすることができます。


注意:
この制度は、元請の監理技術者の設置義務を免除するものではなく、下請業者の主任技術者の配置を不要とする制度です。


8-3. 令和7年2月改正の金額基準まとめ


令和7年2月1日の改正により、以下の金額基準が変更されました:


項目 金額基準 令和7年2月改正
指導監督的実務経験の対象工事 4,500万円以上 改正なし
特定建設業許可が必要な下請代金額 5,000万円以上(建築一式8,000万円以上) 改正あり(4,500万円→5,000万円)
専任監理技術者の配置が必要な工事 4,500万円以上(建築一式9,000万円以上) 改正あり(4,000万円→4,500万円)
特定専門工事の下請代金額上限 4,500万円未満 改正あり(4,000万円→4,500万円)


重要な注意点:
「特定建設業許可が必要な下請代金額」と「指導監督的実務経験の対象工事」は異なる金額基準です。前者は5,000万円以上(改正後)、後者は4,500万円以上(改正なし)です。混同しないよう注意してください。


専任技術者


9. 実務ケーススタディ


実際の事例を通じて、専技要件の判断プロセスを学びましょう。


ケース1:1級資格者(最もシンプル)


顧客の状況:

  • 1級建築施工管理技士の資格保有
  • 申請会社に常勤


判断プロセス:

  1. 一般建設業の専技要件:パターン@(国家資格者)に該当
  2. 建築一式工事の専技となれる
  3. 実務経験の証明は不要


使用書式:

  • 017 専任技術者証明書(様式第8号)
  • 006 専任技術者一覧表(様式第1号別紙4)
  • 添付:1級建築施工管理技士資格者証の写し


ポイント:
国家資格があれば証明は簡単です。資格者証の写しがあれば十分です。


ケース2:実務経験10年(資格なし)


顧客の状況:

  • 国家資格なし
  • 大工工事に15年従事(うち10年は証明可能)


判断プロセス:

  1. 一般建設業の専技要件:パターンA(実務経験10年)で証明
  2. 大工工事の専技となれる
  3. 10年分の実務経験の裏付け資料が必要


使用書式:

  • 017 専任技術者証明書(様式第8号)
  • 018 実務経験証明書(様式第9号)
  • 006 専任技術者一覧表(様式第1号別紙4)
  • 添付:契約書、請求書、在籍証明等


ポイント:
実務経験の証明は、裏付け資料の収集が鍵です。10年分すべて揃えるのは困難な場合が多いですが、可能な限り多くの資料を集めます。


ケース3:指定学科卒業+実務経験3年


顧客の状況:

  • 大学の土木工学科卒業
  • 土木工事に5年従事(うち3年は証明可能)


判断プロセス:

  1. 一般建設業の専技要件:パターンB(指定学科+実務経験)で証明
  2. 土木一式工事の専技となれる
  3. 卒業証明書+3年分の実務経験証明が必要


使用書式:

  • 017 専任技術者証明書(様式第8号)
  • 018 実務経験証明書(様式第9号)
  • 006 専任技術者一覧表(様式第1号別紙4)
  • 添付:卒業証明書、契約書、在籍証明等


ポイント:
指定学科卒業者は、実務経験が10年から3年に短縮されます。卒業証明書に学科名が明記されていることが必須です。


ケース4:特定建設業(指導監督的実務経験)


顧客の状況:

  • 2級建築施工管理技士(建築)保有
  • 元請として5,000万円以上の建築工事を3件、監理技術者として担当(合計3年)


判断プロセス:

  1. 特定建設業の専技要件:ルートA(一般の専技要件+指導監督的実務経験)で証明
  2. 一般の専技要件:2級建築施工管理技士で満たす
  3. 指導監督的実務経験:4,500万円以上の工事で2年以上の経験あり(5,000万円の工事なので基準を満たす)


使用書式:

  • 017 専任技術者証明書(様式第8号)
  • 019 指導監督的実務経験証明書(様式第10号)
  • 006 専任技術者一覧表(様式第1号別紙4)
  • 添付:2級資格者証、工事請負契約書(4,500万円以上)、施工体制台帳等


ポイント:
特定建設業の専技は、1級資格がない場合は指導監督的実務経験が必要です。4,500万円以上の元請工事での経験が必須です。


専任技術者


まとめ


本記事では、建設業許可の第2要件である専任技術者について詳しく解説しました。


押さえるべき重要ポイント


一般と特定で要件が大きく異なる

  • 一般:2級資格または実務経験10年
  • 特定:1級資格または指導監督的実務経験


証明方法は3パターン

  • 国家資格による証明(最も簡単)
  • 実務経験10年による証明
  • 指定学科卒業+実務経験3年(大卒)または5年(高卒)


実務経験の証明は裏付け資料が鍵

  • 契約書、請求書等の客観的証拠が必要
  • 10年分を完璧に揃えるのは困難だが、可能な限り収集


令和7年2月改正の影響

  • 専任監理技術者の配置基準:4,500万円以上(建築一式は9,000万円以上)に引き上げ
  • 指導監督的実務経験の対象工事:4,500万円以上(改正なし)
  • 特定建設業許可が必要な下請代金額:5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)に引き上げ
  • 特定専門工事の下請代金額上限:4,500万円未満に引き上げ


混同しやすい金額基準に注意

  • 「特定建設業許可が必要な下請代金額(5,000万円)」と「指導監督的実務経験の対象工事(4,500万円)」は異なる


実務で成功するための必須ツール


専技要件の確認と証明には、以下の書式が不可欠です:


要件確認:

  • チェックリスト001またはチェックリスト002(専技部分)


証明書式:

  • 017 専任技術者証明書(様式第8号)
  • 018 実務経験証明書(様式第9号)
  • 019 指導監督的実務経験証明書(様式第10号)
  • 006 専任技術者一覧表(様式第1号別紙4)


これらの書式を正確に作成し、適切な裏付け資料を添付することが、審査通過の鍵です。特に、018(様式第9号)の実務経験証明は、記入内容と裏付け資料の整合性が厳しくチェックされます。


20年以上新人行政書士に使われ続けている「行政書士開業セット」の書式集については、以下のページで詳しく解説しています。


これらの資料には、017(様式第8号)・018(様式第9号)・019(様式第10号)の詳細な記入例、審査でよく指摘される事項、実務経験の裏付け資料の集め方など、実務で即使えるノウハウが凝縮されています。


専任技術者


次に読むべき記事


専技要件を理解したら、次は第3・第5要件を学びましょう:

  • 記事4:誠実性・欠格要件の確認実務
  • 記事5:財産的基礎の要件と財務諸表の作成実務
  • 記事6:社会保険加入要件の詳細


 
独学の前に→「おすすめの実務講座
基礎を理解した後は→「おすすめの実務本