
2025年度の行政書士試験、合格率は14.54%。数字だけ見れば「ちょっと易しくなったのかな?」と思うかもしれません。でも、実際に受験した方の声を聞くと、全く違う景色が見えてきます。
「行政法はスラスラ解けたのに、民法と記述で時間が足りなくなった」「商法が予想以上に難しくて焦った」「多肢選択は去年より簡単だったけど、それでも合格点に届かなかった」
そうなんです。2025年度は「できる科目とできない科目の差が激しい試験」だったのです。行政法や基礎法学でしっかり得点できた受験生だけが、難化した民法・商法・記述式を乗り越えて合格を手にしました。
この記事では、2025年度試験の詳細な分析から見えてきた2026年度合格への具体的な戦略をお伝えします。「今年は何が起きたのか」を正しく理解することが、来年の合格への第一歩です。

2025年度の基本データを確認しましょう。申込者数は63,845人、そのうち実際に受験したのは50,163人。合格者は7,292人で、合格率は14.54%となりました。
前年の12.90%から約1.6ポイント上昇し、ここ5年間では最も高い合格率です。しかし、合格者平均点は197点で前年の198点とほぼ変わっていません。
これが何を意味するか、おわかりでしょうか?
合格率が上がったからといって「試験が簡単になった」わけではないのです。むしろ、得点できる科目とできない科目がはっきり分かれ、戦略的に学習した受験生だけが合格ラインを超えたという構図が見えてきます。
| 年度 | 受験者数 | 合格率 |
|---|---|---|
| 2021(令和3) | 47,870 | 11.18% |
| 2022(令和4) | 47,850 | 12.13% |
| 2023(令和5) | 46,991 | 13.98% |
| 2024(令和6) | 47,785 | 12.90% |
| 2025(令和7) | 50,163 | 14.54% |
受験者数も過去5年で最多となり、競争は確実に激化しています。「受験者が増えた中での選抜」という現実を、しっかり受け止める必要があります。
2025年度試験の特徴は「メリハリの強い試験」だったと評価できます。
基礎法学、憲法、行政法、多肢選択は比較的取りやすく設定されていました。一方で、民法、商法、記述式は明確に難化。この科目間の難易度差が、合格・不合格を大きく分けたのです。
| 科目 | 配点 | 難易度 | 評価・コメント |
|---|---|---|---|
| 基礎法学 | 8 | 易 | 基本用語・制度問題でサービス問題レベル |
| 憲法 | 28 | 易 | 2024より明確にマイルド化、基本判例・条文で勝負 |
| 行政法 | 112 | 易 | 典型論点+条文ベース、多くの受験生の得点源 |
| 民法 | 76 | 難 | 択一は例年〜やや難、記述は明確に難化 |
| 商法・会社法 | 20 | 難 | 細かい論点・ひねりが目立つ、コスパ悪化 |
| 多肢選択 | 24 | 易〜やや易 | 2024の“過去最高難度”から一転してかなりマイルド |
| 記述式 | 60 | 難 | 行政法:裁決固有の瑕疵/民法:日常家事債務・事務管理など重い |
| 基礎知識 | 56 | 標準 | 行政書士法・個人情報保護・文章理解で稼げる構成 |
全体難易度は標準。ただし、法令科目内での難易度の凸凹が大きく、民法・商法・記述で落としすぎると一気に沈む試験と評価できるでしょう。まさに、行政法と多肢選択と基礎知識を確実に取り切ったかどうかが勝負の分かれ目だったのです。

2025年度の基礎法学は、法律用語(「者」「物」「もの」)や裁判員制度など、教科書的な内容が中心でした。各予備校とも「易しい」「サービス問題」と評価しています。
2026年度に向けた対策のポイントは、とにかく深追いしないことです。配点はわずか8点。ここに時間をかけすぎるのは戦略的に得策ではありません。
憲法・行政法の基礎理解を固める中で自然にカバーされる範囲で十分です。方針は「2問中1問確実+1問は取れたらラッキー」くらいで構いません。本番では時間をかけずに即答するか、見切りをつける訓練を過去問でしておきましょう。
2025年度の憲法は、2024年に比べて明確にマイルド化しました。典型判例と条文知識が中心で、「ちゃんと判例と条文をやっていれば取りやすかった」というのが受験生の一般的な感想のようです。
しかし、ここで油断してはいけません。「今年が易しかった=来年も易しい」は禁物です。試験委員会は憲法の難易度を振って調整する傾向があり、2026年度は再び判例色が強まったり、思考系の出題が増えたりする可能性が高いのです。
判例学習では「結論暗記」ではなく「判断枠組み」ごと押さえることが重要です。「事案+結論+判断枠組み」をセットで理解することが、難しめの判例問題への唯一の対抗策となります。
学習の役割分担は明確です。人権分野は判例ベースで、表現の自由、学問の自由、平等原則、新しい人権系をしっかり押さえます。統治分野は条文ベースで、国会・内閣・裁判所・地方自治などの構造を理解しましょう。
目標ラインは、択一・多肢込みで28点中20点(6問中4〜5問正解)を安定して取れる力です。

2025年度の行政法は、受験生にとって最大の得点源となりました。このレベルなら16問は正解しないと、合格は難しいでしょう。
行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法がバランスよく出題され、条文と典型論点が中心。多肢選択も2024年より明らかに易しく、「行政法で稼げたかどうか」が合否を大きく左右したのです。
ただし、記述式は4年連続で行政事件訴訟法からの出題で、「裁決固有の瑕疵」「裁決取消訴訟」など、知っていないとスラスラ書けないテーマでした。
行政法と民法だけで188点満点(行政法112点+民法76点)です。行政法を取り切れないと、民法や基礎知識など他科目でのリカバリーがほぼ不可能になります。
2026年度に向けて、まず条文ベースの学習に軸足を置くことが重要です。行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法は、六法で条文を読む前提でテキストと往復しましょう。
特に行政不服審査法と行政事件訴訟法は、「要件・手続・効果」を図解で整理しておくと、多肢選択や記述式への耐性が大きく上がります。
2025年度を含め、近年は行政事件訴訟法からの記述出題が続いています。取消訴訟、義務付け訴訟、差止訴訟、当事者訴訟、そして「裁決固有の瑕疵」あたりは、典型事例レベルで即座に条文・要件が出てくる状態にしておきましょう。
「誰を被告として」「どの訴訟類型で」「どのような主張をするか」を40字でまとめる練習を、過去問を使って繰り返し行うことが重要です。

2025年度の民法は、明確に「難」と位置付けられます。択一は総則・物権・債権からバランスよく出題されましたが、一部で論点の深掘りや事例処理が目立ちました。
記述式では、日常家事債務(夫婦の連帯責任に関する条文)と事務管理(他人のために法律上の原因なく事務を行う事案)が出題され、条文と典型論点を「理解ベース」で持っていないと書きづらい難度でした。
来年度もこの傾向が続くのなら、民法は満点狙いではなく"半分+α"を確実に積み上げる科目と位置付けるべきです。
具体的には、択一で9問中5〜6問、記述式で2問合計25〜30点が取れれば、民法としては十分合格水準です。この目標設定が、他科目への時間配分を考えても現実的なのです。
行政書士試験の民法の9割は財産法から出題されます。家族法は毎年1問程度にとどまります。学習時間は「総則>債権>物権>家族法」の順に配分しましょう。
各論点では、条文+判例+典型事例の「3点セット」で理解することが重要です。例えば事務管理なら、「台風で隣家の屋根を修理」「雪でガレージが潰れそうなので除雪」といった具体的な事例で理解を深めます。
「条文→教科書的事例→過去問事例」と段階を踏むことで、記述問題で「名称が書いていなくても論点を見抜ける」力が養成されるのです。
記述式問題は、当然ですが満点狙いではなく、テーマと条文要件に対応したキーワードを落とさないことで部分点を積み上げる試験です。40字以内で「訴訟類型」「要件の中核部分」「効果」を自然な日本語でまとめる練習を、過去問ベースで行いましょう。

2025年度の商法・会社法は、「難」と評価できます。会社設立や機関、株式などを絡めた問題が重めに出題され、多くの受験生が「5問中3問取れれば上出来」という体感でした。
配点20点に対し、範囲は広大です。合格ラインから逆算すると、5問中2問(8点)取れれば十分戦える構造になっています。
そのため、行政法・民法に優先的に時間を振りつつ、「会社設立と基本的な機関・株式」だけは落とさない設計にするのが賢明です。深追いは禁物。戦略的に「浅く広く」学習し、効率を重視しましょう。
2025年度の多肢選択は、2024年の「過去最高難度」から一気にマイルド化しました。レベルとしては「やや易〜並」と評価できるでしょう。問41・42は比較的取りやすく、問43のみやや取りづらいというバランスでした。
長文化・空欄補充という形式上、「法律版の読解問題」として捉えることが重要です。2026年度に向けた対応の軸は以下の3点です。
目標は24点中16〜20点。3問中2問はほぼ満点、残り1問で部分点を稼ぐイメージで臨みましょう。

2025年度の記述式は、「難」レベルです。行政法・民法ともに受験生の出来を相当ふるいにかける内容となっています。
主なテーマは以下の通りでした。
記述式は基本的に"キーワードを落とさず部分点を積み上げて40点取る試験"です。2025年の難化を踏まえても、平均ラインは30点台前半程度と推測され、40点以上なら十分アドバンテージになるのです。
2026年度に向けて、過去10年の出題パターンを「型」としてインプットしましょう。
【行政法】
【民法】
記述式では、以下の3ステップを過去問で毎回意識することが重要です。
この3ステップを繰り返し練習することで、2025年のような重めの記述にも対応できる力が身につきます。

2025年度の基礎知識は、「標準」レベルと評価できるでしょう。2024年の制度改正が定着し、以前のような「一般知識の足切りに怯える」状況から、むしろ「得点源として期待できる科目」に変わりつつあります。
内訳を見ると、一般知識(政治・経済・社会)は時事+制度問題、行政書士法等の諸法令は基本問題で容易、情報通信・個人情報保護は頻出論点が中心、文章理解は3問とも易〜標準で全問正解も十分狙える内容でした。
近年は8〜10問正解する合格者も多く、商法・憲法での取りこぼしを救う役割が強まっています。
目標は14問中8〜10問です。最低ライン6問(24点)は当然クリアし、そこから+8〜16点を上乗せするイメージで臨みましょう。
基礎知識の学習では、優先順位を明確にすることが重要です。
この優先順位で学習することで、限られた時間を最大限に活かせます。
合格基準は例年通りです。
2025年度の難易度バランスを踏まえると、2026年度も以下のような「ターゲット配分」を置くのが現実的です。
このイメージで積み上げると、総得点190〜210点レンジに自然と乗る構造になります。

近年の難易度、配点構造、2025年の科目バランスを踏まえると、学習時間配分の目安は以下の通りが妥当です。
行政法と民法に学習時間の65%を集中投下することが、2026年度合格への近道です。

行政法・民法のテキストと基本講義を通し、すぐに該当年度の過去問で「どの論点が問われているか」を確認しましょう。憲法・商法は「全体像を押さえる+頻出論点を拾う」レベルにとどめます。
行政法・民法の過去問を「全肢検証」スタイルで2周目へ。記述式は過去10年分(30問)をテーマ別に分類し、40字構成の練習を開始します。
予備校模試を最低2回受験し、時間配分と弱点を可視化しましょう。多肢選択式は本試験形式の演習を通じて、「空欄前後を読むくせ」「不自然な組み合わせを消す眼」を養います。
基礎知識は文章理解+行政書士法・個人情報保護法を重点的に固めます。
新しい教材には手を出さず、これまで解いた過去問・模試のみを「高速復習」します。記述はテーマ別に「今年出るならここ」という論点を10〜15個に絞り、1日1〜2問ペースで書く練習を続けましょう。
2025年度試験の分析から見えてきた重要なポイントがあります。それは、「理解ベースの学習」がこれまで以上に重要になっているということです。
民法の記述式で「事務管理」や「日常家事債務」が出題されたとき、条文を丸暗記しているだけでは太刀打ちできません。行政法の「裁決固有の瑕疵」も、言葉を知っているだけでなく、その本質的な意味と訴訟類型の関係を理解していなければ、40字の答案を構成できないのです。
独学でこの「理解」まで到達するのは、正直なところ、かなり困難です。特に働きながら学習する方にとっては、限られた時間の中で「どこまで深く理解すべきか」「どこで見切りをつけるべきか」の判断が難しく、結果的に非効率な学習に陥りがちです。
そこで強くお勧めしたいのが、予備校の活用です。主要予備校では、長年の試験分析に基づいた体系的なカリキュラムが組まれています。特に行政法の「要件・手続・効果の図解整理」や、民法の「条文+判例+典型事例の3点セット学習」といった手法は、独学では構築しにくい効率的な理解の枠組みです。
また、記述式の答案添削や模試での客観的な実力測定も、予備校ならではの大きなメリットです。自分では気づきにくい弱点を早期に発見し、修正できることが、合格への最短ルートにつながります。
一般知識が得点源になるという傾向を前提とすれば、以下のような順番で解答していくという戦略が考えられます。

2025年度(令和7年度)行政書士試験は、行政法・憲法・基礎法学・多肢選択・基礎知識が比較的取りやすく、民法・商法・記述式が難化し、合格率は14.54%と高水準でした。
つまり、「基礎をきっちり積み上げていれば合格しやすいが、民法・記述の地力がないと落とされる試験」だったのです。
2026年度に向けて押さえるべき「3つの柱」は次の通りです。
1. 行政法を「落とさない科目」にする
19問中16問+多肢+記述で80〜90点を狙います。条文と判例を結びつけた「理解ベース」の過去問学習が前提です。
2. 民法は「半分+記述40点」でよいと割り切りつつ、財産法を徹底的に固める
択一5〜6問+記述25〜30点で十分合格圏です。暗記ではなく、「条文+判例+典型事案」で「事務管理や日常家事債務だと気づける」理解力を鍛えましょう。
3. 基礎知識を「足切り」から「得点源+セーフティネット」に格上げする
文章理解3問+諸法令・個人情報保護で6〜7問を固め、一般知識で1〜3問積み増しを狙います。商法や民法での予期せぬ失点を補う「保険」として機能させましょう。
この3本柱を前提に、行政法・民法を学習時間の65%前後に集中投下し、残りで憲法・商法・基礎知識・記述の型を整えることが、2025年度試験の分析から導かれる、2026年度(令和8年度)合格への最短ルートです。
今から11月本試験までの時間を「行政法・民法中心+記述の型づくり」に投下できれば、2025年度レベルの試験が来ても十分に合格を狙えます。ここから逆算思考で、1日・1週間・1か月の学習計画に落とし込んでいきましょう。
あなたの合格を心から応援しています。
