
2022年度行政書士試験の合格率は12.13%でした。前年の11.18%から約1ポイント上昇し、受験生にとってはやや取り組みやすい試験だったと言えます。
この試験で最も注目すべき点は、「正しい準備をした受験生が確実に報われた」という事実です。極端に難しい科目も易しすぎる科目もなく、基礎を固めてきた受験生が順当に合格を掴み取りました。
本記事では、2022年度試験の詳細な分析を通じて、あなたが来年の試験で合格するための具体的な戦略をお伝えします。各予備校の総評と実際のデータから導き出された対策は、これから学習を始める方にも、再チャレンジする方にも必ず役立つはずです。

2022年度試験を一言で表すなら「標準的でバランスの良い試験」でした。法令科目は前年よりやや難しく、一般知識は前年より解きやすいという、まさに「普通」の試験だったのです。
しかし、この「普通」こそが受験生を悩ませます。なぜなら、どの科目も手を抜けないからです。民法で失敗しても行政法でカバーできる、というような甘さは通用しません。
2022年度試験の基本データ
特に注目すべきは、民法と行政法で確実に得点できたかどうかが合否を分けたという点です。この2科目だけで配点の6割以上(188点/300点)を占めるため、ここで失敗すると挽回が非常に困難になります。

| 科目 | 配点 | 問題数 | 難易度評価 | 重要度 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基礎法学 | 8 | 2問 | 標準 | 低 | 基本レベル |
| 憲法 | 28 | 5問+1問 | 標準〜やや難 | 中 | 例年並み |
| 行政法 | 112 | 19問+2問+1問 | 標準 | 最重要 | バランスの良い出題 |
| 民法 | 76 | 9問+2問 | 標準 | 重要 | 取り組みやすい |
| 商法 | 20 | 5問 | 標準〜やや難 | 中 | 商法が難化 |
| 多肢選択 | 24 | 3問 | やや難 | 高 | 憲法がやや難 |
| 記述式 | 60 | 3問 | 標準 | 高 | 義務付け訴訟等 |
| 一般知識 | 56 | 14問 | 易〜標準 | 中 | 前年より易化 |
基礎法学は2問8点という配点の少なさから、「費用対効果が最も低い科目」です。2022年度も法令の構成や法学の基礎概念を問う標準的な問題が出題されました。
基礎法学のために貴重な学習時間を使うより、行政法の過去問をもう1周する方がはるかに効果的です。
2022年度の憲法は、表現の自由、平等原則、選挙制度など、判例知識を問う問題が中心でした。多肢選択式(問題41)も憲法から出題され、やや難しいレベルでしたが、判例を正確に理解していれば対応可能でした。
6問中3〜4問正解できた受験生が多く、極端に難しくも易しくもない、適度な難易度だったと言えます。
5肢択一で4〜5問正解、多肢選択で部分点を確保すれば、この目標は十分達成可能です。

配点112点という圧倒的な重要性を持つ行政法。2022年度は「バランスの良い出題」と高く評価されました。行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法と、まんべんなく出題されたのです。
過去問学習をしっかりしていた受験生にとっては、「見たことがある問題」が多く、努力が報われた科目でした。
記述式(問題44)は義務付け訴訟を問う問題で、「B市を被告として」「重大な損害が生じるおそれがあると主張し」「是正命令の義務付け訴訟を提起する」という記述が求められました。頻出論点からの出題で、対策していた受験生は確実に得点できました。
行政法は努力が最も報われる科目です。過去問を徹底的に理解すれば、この目標は十分達成できます。記述式でも部分点を含めて15点以上を狙いましょう。

2022年度民法は「取り組みやすい」と評価されました。虚偽表示、時効、根抵当権、危険負担など、民法の基本論点を問う問題が中心で、奇を衒った問題はありませんでした。
記述式の問題45は抵当権の物上代位、問題46は請負の契約不適合責任を問う問題。いずれも頻出論点で、過去問対策をしていれば対応可能でした。
5肢択一で9問中6〜7問正解、記述式で各問12〜15点を狙えば、合計55〜60点は確保できます。

2022年度は商法(問題36)がやや難しく、多くの受験生を悩ませました。一方、会社法は設立や機関の基本事項を問う標準的な問題が中心でした。
完璧を目指さず、取れる問題を確実に取る戦略が重要です。
2022年度の多肢選択式は、憲法(問題41)がやや難しく、最新判例からの出題で語句の推測が難しい問題でした。一方、行政法2問(問題42・43)は比較的標準的で、基礎知識があれば部分点を獲得できる内容でした。
3問中2問で満点、1問で部分点を狙いましょう。
配点60点という高配点を持つ記述式。2022年度は標準的な難易度で、頻出論点からの出題でした。
いずれも40字程度の簡潔な記述で、法律用語を正確に使えるかが採点のポイントでした。
各問で部分点を含めて12〜15点ずつ獲得することを目指しましょう。記述式で40点以上取れるかどうかが、合否を分ける最大のポイントです。

2022年度は前年度より解きやすく、特に政治・経済・社会の分野で標準的な問題が多く出題されました。文章理解も例年通り3問とも確実に得点できる問題でした。
足切りの6問ではなく、余裕を持って8問正解を目指しましょう。24点以上あれば安心です。
2022年度試験の分析から見えてきた重要な事実があります。それは、全科目がバランス良く標準レベルで出題されたということです。
この傾向が示しているのは、「一夜漬け」や「ヤマを張る」といった学習法では太刀打ちできないという現実です。憲法の判例理解、行政法の条文知識、民法の体系的理解、そして記述式で求められる論理的思考力。これらすべてをバランス良く、かつ深いレベルで身につける必要があるのです。
独学でこの水準に到達することは決して不可能ではありません。しかし、正直に申し上げれば、多くの受験生が「何を」「どの順番で」「どこまで深く」学習すべきかの判断に迷い、貴重な時間を浪費しています。
2022年度試験で合格を掴んだ受験生の多くは、予備校の体系的なカリキュラムを活用していました。予備校は過去の出題傾向を徹底的に分析し、「今年のような標準的な試験」でも「難化した年の試験」でも対応できる、バランスの取れた実力を養成するプログラムを提供しています。
特に重要なのは、判例の正確な理解と記述式対策です。これらは独学では最も難しい分野であり、多くの受験生が苦戦するポイントです。予備校では、判例を単なる暗記ではなく「なぜその結論になったのか」という論理を理解させ、記述式では「採点者が何を求めているか」という視点から指導を行います。
来年度の試験でも2022年度と同様の傾向が続くとすれば、穴のない、バランスの取れた実力が求められます。限られた時間の中で確実に合格を目指すなら、予備校の活用を真剣に検討する価値は十分にあるでしょう。
「過去問を10周しました」という言葉をよく聞きます。しかし、周回数は合格に直結しません。重要なのは「なぜその答えになるのかを理解したか」です。
効果的な過去問の使い方
過去問は「暗記するもの」ではなく、「出題者の意図を読み取るためのツール」なのです。

合格に必要な総学習時間は600〜1,000時間と言われています。限られた時間を効果的に使うため、科目別の配分を明確にしましょう。
推奨学習時間配分
12月〜2月(基礎固め期)
3月〜5月(知識定着期)
6月〜8月(応用力養成期)
9月〜10月(実戦力強化期)
11月(直前期)
試験時間は3時間(180分)。この限られた時間で300点分の問題を解き切る必要があります。
推奨解答順序(個人差があるので要調整)
時間配分の鉄則

2022年度は全科目が標準的な難易度でした。これは「苦手科目を作らないバランスの良い学習」の重要性を示しています。
「行政法が得意だから民法は捨てよう」という戦略は危険です。民法が難化した年は対応できなくなります。全科目で基礎を固めることが、どんな難易度の試験にも対応できる真の実力につながります。
2022年度試験で合格した受験生の多くは、行政法と民法の合計で150点以上を取っていました。この2科目だけで配点の6割以上を占めるため、ここで得点できれば他科目の失敗をカバーできます。
60点という高配点を持つ記述式。2022年度は標準的な難易度でしたが、記述式で40点以上取れるかどうかが合否を分けました。
「記述式は直前期に対策すればいい」と考えている方は要注意です。論理的に文章を構成する力は、一朝一夕には身につきません。早い段階から意識的に記述の練習をすることが重要です。
300点中180点(60%)で合格です。全ての問題を解ける必要はありません。むしろ、難問に時間を取られて基本問題を落とす方が危険です。
基礎法学2問、商法の難問など、時間対効果の低い問題は潔く捨てる判断も必要です。限られた時間の中で、「取れる問題を確実に取る」戦略が合格への近道です。
多肢選択式や商法で難問が出ても、「これは想定内」と割り切り、次の科目で立て直す冷静さが重要です。1つの難問に固執して全体のリズムを崩さないようにしましょう。
新しい教材に手を出さない
直前期は新規知識のインプットより、既習事項の反復が効果的です。「あの教材もやっておけば」という不安は誰にでもありますが、ここは我慢が必要です。
体調管理を最優先
11月の試験に向けて、10月後半から生活リズムを整えましょう。試験当日に最高のパフォーマンスを発揮するための準備も、立派な試験対策です。
模試は点数より分析
模試の点数に一喜一憂する必要はありません。重要なのは、時間配分の確認と苦手分野の洗い出しです。
2022年度行政書士試験の分析から見えてきた合格への道筋。それは決して複雑なものではありません。
合格への3つの鉄則
行政書士試験は、正しい方法で十分な時間をかければ、誰でも合格できる試験です。ただし、「過去問を何周もしたのに受からない」という落とし穴には注意が必要です。
大切なのは周回数ではなく、なぜその答えになるのかを理解すること。この姿勢こそが、2022年度試験で合格を掴み取った受験生に共通していた特徴でした。
来年の試験まで、今日この瞬間から正しい方法での学習をスタートさせましょう。2022年度試験の教訓を生かし、バランスの良い実力を養成すれば、合格は必ず手に入ります。