【2021年度】行政書士試験の総評・難易度から考える来年の対策



2021年度試験を知れば、合格への道が見えてくる


2021年度(令和3年度)行政書士試験、お疲れ様でした。合格率は11.18%(受験者数47,870名、合格者数5,353名)。前年度から約0.5ポイント上昇したものの、依然として厳しい数字が並びます。


今年の試験、あなたはどう感じましたか?


「民法が難しすぎて時間が足りなかった」
「一般知識で見たことない問題ばかりだった」
「記述式は書けたけど、択一で失点した」


多くの受験生から、こんな声が聞こえてきます。


実は、2021年度試験は「科目ごとの難易度差」が非常に大きかった年なのです。行政法や憲法は比較的取りやすかった一方で、民法・商法・一般知識が難化。この「明暗」をどう乗り越えるかが、合否を分けました。


本記事では、各予備校の総評と実際のデータを徹底分析し、2022年度(令和4年度)に向けた具体的な対策をお伝えします。「なぜ落ちたのか」「どこで差がついたのか」を明確にして、来年こそは確実に合格を掴み取りましょう。


【2021年度】行政書士試験の総評


2021年度試験の全体像:明暗を分けた「科目間格差」


合格者平均点は198点。過去数年の平均的な水準でしたが、内訳を見ると興味深い事実が浮かび上がります。


2021年度試験の特徴

  • 行政法、憲法、記述式:比較的取りやすい(得点源にできた受験生が有利)
  • 民法、商法、一般知識:難化(ここでの失点をカバーできるかが勝負)
  • 時事問題の増加:過去問だけでは対応困難な出題が目立つ
  • 判例問題の難化:単純暗記では太刀打ちできない問題が増加


つまり、「取れる科目で確実に取り、難しい科目は最低限で凌ぐ」という戦略的判断が求められた試験だったのです。


民法で苦戦した受験生が多かった一方、行政法や記述式でしっかり得点できた人が合格を掴みました。あなたは、この戦略的配分ができていましたか?


合格者と不合格者の決定的な差は、「難しい問題に時間をかけすぎなかった」「取れる問題を確実に取った」という点にあります。300点満点で180点取れば合格という試験の性質を理解し、完璧主義に陥らなかった受験生が栄冠を手にしたのです。


【2021年度】行政書士試験の総評


科目別分析:どこで得点し、どこで失点したのか



科目 配点 問題数 難易度評価 重要度 特記事項
基礎法学 8 2問 標準 基本レベル
憲法 28 5問+1問 標準 判例が多い
行政法 112 19問+2問+1問 標準 最重要 バランスよく出題
民法 76 9問+2問 重要 難化した
商法 20 5問 商法が難い
多肢選択 24 3問 標準 標準レベル
記述式 60 3問 標準 記述しやすい
一般知識 56 14問 やや難 時事問題が目立つ


基礎法学(配点8点・2問):時間をかけすぎない割り切りが大切


難易度:標準


2021年度の基礎法学は、法律の基礎概念を問う標準レベルの出題でした。憲法や行政法の知識があれば対応可能な内容です。


基礎法学は出題範囲が広く、法哲学、法制史、法社会学など多岐にわたります。しかし、配点はわずか8点。ここに多大な時間を投資するのは、費用対効果の観点から賢明とは言えません。


来年への教訓


  • 2問8点のために多大な時間を割くのは非効率
  • 憲法・行政法の学習が自然と基礎法学対策になる
  • わからなければ潔く飛ばす判断力も必要
  • 「2問中1問取れれば十分」の心構えで臨む
  • 基礎法学の問題は試験の最初に出題されるが、時間をかけすぎて後の科目に影響を与えないよう注意


基礎法学は「捨て科目」ではありませんが、「深追いしない科目」と位置づけることが重要です。他科目の学習で得た知識を総動員して、常識的に判断できる問題を確実に取る姿勢で臨みましょう。


憲法(配点28点・6問):判例理解が勝負を分ける


難易度:標準(判例中心)


2021年度憲法は判例問題が中心で、基本的な人権論点が多く出題されました。問題3、問題4、問題5は判例を知っていれば対応可能。多肢選択式の問題41も標準レベルでした。


憲法は行政書士試験の中でも比較的取り組みやすい科目です。なぜなら、判例の事案と結論を理解していれば、多くの問題に対応できるからです。ただし、「判例を暗記する」のではなく、「判例の論理を理解する」ことが重要です。


来年への教訓


  • 判例は「事案・争点・判旨」をセットで理解する
  • 「なぜその結論になったのか」という論理を追いかける
  • 人権分野(判例中心)と統治分野(条文中心)で学習方法を分ける
  • 多肢選択式対策も並行して進める(判例の重要フレーズを意識)
  • 判例百選などを活用し、重要判例の射程範囲を正確に把握する
  • 統治分野は条文の正確な理解が求められるため、六法を常に参照する習慣をつける


目標得点:28点中20点以上(6問中4〜5問正解+多肢選択で部分点)


憲法は努力が報われやすい科目です。判例学習に時間を投資すれば、確実に得点源にできます。特に人権分野は頻出論点が固まっているため、過去問で繰り返し出題されている判例を中心に学習を進めましょう。


行政法(配点112点・19問+記述1問):合格の生命線


難易度:標準(バランス良く出題)


2021年度行政法は、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法がまんべんなく出題され、過去問学習をしっかりしていた受験生に非常に有利な内容でした。


記述式の問題44も標準的な難易度で、多くの受験生が対応可能でした。


行政法は配点が112点と全科目中最大であり、行政法を制する者が行政書士試験を制すると言っても過言ではありません。2021年度試験でも、行政法で高得点を取れた受験生が合格を掴んでいます。


来年への教訓


  • 過去問の徹底反復が最重要(ただし答えを覚えるのではなく、理由を理解)
  • 条文の精読を怠らない(テキストの要約だけでは不十分)
  • 判例は事案と結論をセットで押さえる
  • 記述式対策も並行して進める
  • 行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の3法を横断的に理解する
  • 地方自治法も出題されるため、基本的な仕組みは押さえておく
  • 国家賠償法、行政代執行法などの特別法も頻出分野として重点的に学習


目標得点:112点中85点以上(19問中15〜16問正解+記述で部分点以上)


行政法は努力が最も報われる科目


行政法は出題パターンが比較的安定しており、過去問をしっかり理解すれば確実に得点できます。配点も112点と最大。ここで確実に稼げるかどうかが、合否を大きく左右します。特に行政手続法と行政不服審査法は条文の正確な理解が求められるため、六法を引きながら学習を進めることが効果的です。


行政法の学習では、「全体像の把握」が重要です。行政活動の流れ(企画→処分→不服申立て→訴訟)を理解し、各段階でどの法律が適用されるのかを整理しましょう。この「流れ」を意識することで、個別の条文や判例が有機的につながり、記憶の定着も飛躍的に向上します。


【2021年度】行政書士試験の総評


民法(配点76点・9問+記述2問):2021年度の最大の難関


難易度:難(明確に難化)


2021年度民法は「難化した」と多くの予備校が評価しています。問題34や問題40など、高難度の問題が複数出題され、民法の複数分野を横断的に理解する必要がある問題が増加しました。


2020年民法改正の影響もあり、新しい概念の理解が求められた点も、受験生を苦しめました。


民法は行政書士試験の中で最も学習範囲が広い科目です。総則、物権、債権、親族、相続の5分野にわたり、条文数は1000を超えます。さらに判例も膨大で、全てを完璧に理解するのは現実的ではありません。


来年への教訓


  • 2022年度も民法の難化傾向が続く可能性大(より深い理解が必要)
  • 総則・物権・債権の3分野で6割確保を目指す(この3分野が頻出)
  • 改正民法(2020年施行)の内容を正確に理解する
  • 判例も重要(事案と結論をセット)
  • 記述式対策を充実させる(物権・契約分野が頻出)
  • 親族・相続は出題数が少ないため、基本事項に絞った効率的学習を
  • 債権分野は契約総論、契約各論(特に売買・賃貸借)、不法行為が頻出
  • 物権分野は抵当権、対抗要件、占有権が頻出論点


目標得点:76点中55〜60点(択一で24〜28点+記述で30点前後)


民法で満点を狙わない


民法が難化した場合、完璧を目指すとかえって時間を浪費します。「9問中6〜7問取れれば十分」と割り切り、記述式で確実に部分点を積み重ねる戦略が有効です。特に親族・相続分野の難問は深追いせず、総則・物権・債権の基本問題を確実に取ることを優先しましょう。


2020年民法改正では、債権分野を中心に大幅な改正が行われました。特に契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)、保証、債権譲渡、消滅時効などは改正のポイントを正確に理解する必要があります。旧民法との比較問題も出題される可能性があるため、「何が変わったのか」を意識した学習が重要です。


民法の記述式は、物権分野(特に登記、抵当権)と契約分野(特に売買、請負)から出題されることが多いです。これらの分野については、単に択一対策をするだけでなく、「自分の言葉で説明できるか」を確認しながら学習を進めましょう。


【2021年度】行政書士試験の総評


商法・会社法(配点20点・5問):コスパを意識した学習を


難易度:難(商法が難化)


2021年度は商法・会社法も全体的に難しく、問題37や問題40など高難度の問題が出題されました。


商法・会社法は5問20点という配点の少なさに対して、学習範囲が非常に広い科目です。株式会社だけでも、設立、株式、機関(株主総会、取締役、取締役会、監査役など)、計算、組織再編など多岐にわたります。さらに商法総則、商行為、手形法、小切手法も出題範囲に含まれます。


来年への教訓


  • 5問20点のためにどこまで時間を割くかを冷静に判断
  • 株式会社の基本事項(設立・株式・機関・計算)を確実に押さえる
  • 深入りは禁物(範囲が広いため効率重視)
  • 商法総則・商行為は基本論点のみに絞る
  • 手形法・小切手法は出題頻度が低いため、最低限の学習に留める
  • 会社法の機関設計は図を描いて理解する(特に株主総会と取締役会の権限分配)


目標得点:20点中8〜12点(5問中2〜3問正解できれば十分)


商法・会社法は「捨て科目」にすべきではありませんが、「深追いしない科目」として位置づけることが重要です。株式会社の基本的な仕組みを理解し、頻出論点(株式の譲渡制限、取締役の義務と責任、株主総会の決議要件など)を確実に押さえることで、2〜3問は確実に得点できます。


多肢選択式(配点24点・3問):長文読解力が試される


難易度:標準


2021年度多肢選択式は標準レベルで、基礎知識があれば部分点を獲得できる内容でした。問題41(憲法)、問題42(行政法)、問題43(行政法)と、いずれも基本的な内容です。


多肢選択式は、多くの受験生が苦手とする問題形式です。しかし、実は「長文読解力」と「基礎知識」があれば、確実に得点できる問題なのです。


来年への教訓


  • 「長文読解の法律版」として取り組む(知識問題ではなく読解力の問題)
  • 空欄前後のヒントを徹底的に探す(2つ目以降の空欄の前後により明確なヒントがある場合が多い)
  • 日本語として自然かどうかを判断基準にする
  • 基礎知識を総動員する(行政法の基本用語・憲法の基本概念が前提)
  • 部分点狙いで諦めない(2〜3つ正解できれば十分)
  • 選択肢を空欄に当てはめて、文章全体の意味が通るかを確認する
  • 判例や条文の「定型フレーズ」を覚えておく(そのまま出題されることが多い)
  • 時間をかけすぎない(1問5分を目安に、わからなければ次へ)


目標得点:24点中16点以上(3問中2問で満点+1問で部分点)


多肢選択式の攻略法は、「空欄の前後を丁寧に読む」ことに尽きます。空欄の直前や直後に、答えのヒントとなる言葉が必ず存在します。また、同じ空欄が複数回出てくる場合、2回目以降の方がヒントが明確なことが多いため、わからない空欄は一旦飛ばして、後で戻ってくる戦略も有効です。


記述式(配点60点・3問):高配点を活かせるかが勝負


難易度:標準(比較的書きやすい)


2021年度記述式は「3問とも比較的書きやすい」と評価されました。問題44(行政法)、問題45(民法)、問題46(民法)のいずれも、定型的な論点が中心で、過去問学習をしていれば対応可能な内容でした。


記述式は60点という高配点であり、記述式を制する者が行政書士試験を制すると言っても過言ではありません。択一式で多少失点しても、記述式で挽回できるケースは多々あります。


来年への教訓


  • 過去10年分の記述問題を分析し、頻出論点を洗い出す
  • 答案構成力を養成する(何を問われているか→必要な法的知識→答案の骨子)
  • 法律用語を正確に使えるようにする(採点上重要)
  • 40字程度で簡潔に記述する訓練をする(冗長にならない)
  • 部分点を狙う姿勢(白紙だけは避ける)
  • 時間配分を徹底する(3問で15分、1問5分目安)
  • 結論だけでなく、理由も簡潔に記述する(「なぜなら〜だから」という論理構成)
  • 過去問の模範解答を写経し、答案の「型」を身につける
  • 民法の記述式は物権(登記、抵当権)と契約(売買、請負)が頻出
  • 行政法の記述式は行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の基本概念が頻出


目標得点:60点中40点以上(各問で12〜15点ずつ獲得)


記述式は「捨てない」が鉄則


60点という高配点を考えれば、記述式を捨てることは合格を放棄するに等しいです。完璧な答案でなくても、キーワードを含めて部分点を積み重ねる姿勢が重要です。採点者は「受験生が何を理解しているか」を見ています。部分的にでも理解している内容があれば、必ず記述しましょう。


記述式の採点基準は公表されていませんが、一般的には「キーワードの有無」「論理構成の正確性」「法律用語の適切な使用」などが評価されると考えられています。完璧な答案を目指すのではなく、「採点者に部分点を与える余地を作る」という意識で答案を作成しましょう。


【2021年度】行政書士試験の総評


一般知識等(配点56点・14問):時事問題の増加に注意


難易度:やや難(時事問題が目立つ)


2021年度は「時事問題が目立つ」試験でした。問題47、問題48、問題56が高難度で、単なる過去問学習では対応困難。日頃からニュースに敏感であることが求められました。


一般知識は、政治・経済・社会(7問28点)、情報通信・個人情報保護(4問16点)、文章理解(3問12点)の3分野から構成されます。特に注意すべきは、14問中6問(24点)以上取らないと、他の科目がどれだけ良くても不合格になる「足切り」があるという点です。


来年への教訓


  • 文章理解は絶対に落とさない(3問12点は確実に取る)
  • 政治・経済・社会は時事問題対策が重要(日頃からニュースに触れる)
  • 情報通信・個人情報保護は過去問中心(個人情報保護法は頻出)
  • 足切り回避だけでなく、余裕を持って8問正解を目指す
  • 新聞やニュースサイトを毎日チェックする習慣をつける
  • 特に政治・経済分野は、直近1年の重要ニュースを整理しておく
  • 個人情報保護法は2020年改正の内容も押さえる
  • 文章理解は国語の長文読解として、毎日少しずつ練習する


目標得点:56点中32点以上(14問中8問正解)


一般知識の足切りに注意


一般知識は14問中6問(24点)以上取らないと、他の科目がどれだけ良くても不合格になります。文章理解3問は必ず取り、残り11問中5問以上を確保する戦略が必要です。特に文章理解は「国語の問題」として、法律知識がなくても得点できるため、絶対に落としてはいけません。


一般知識の時事問題対策として、試験の約3ヶ月前から重要ニュースをノートにまとめる習慣をつけることをおすすめします。政治(内閣改造、重要法案)、経済(経済政策、国際経済)、社会(環境問題、社会問題)の3分野を中心に、キーワードと簡単な説明を整理しておきましょう。


2022年度試験への戦略的アプローチ


2021年度の傾向が示す「独学の限界」


2021年度試験の分析から見えてきたのは、試験の高度化・複雑化という現実です。民法の難化、時事問題の増加、判例問題の深化??これらは単なる一時的な変化ではなく、今後も続く可能性が高い傾向です。


特に注目すべきは以下の3点です。


  • 民法改正への対応:2020年改正民法の理解が不十分だと、今後ますます厳しくなる
  • 時事問題の増加:過去問だけでは対応できない出題が増えている
  • 横断的理解の必要性:複数分野を統合的に理解する力が求められている


これらの傾向に対して、市販のテキストと過去問だけで対応するのは、正直なところ困難になってきています。「何を学ぶか」だけでなく「どう学ぶか」「どこに時間を配分するか」という戦略的判断が、これまで以上に重要になっているのです。


実際、2021年度の合格者の多くは、予備校や通信講座を利用して体系的に学習していました。
プロの講師による重要論点の整理、改正法への的確な対応、時事問題の予想、記述式の添削指導・・・
これらは独学では得られにくいものです。


特に以下のような受験生にとって、予備校の利用は極めて有効です。


  • 法律初学者:法律の基礎から体系的に学ぶ必要がある
  • 働きながら学習する社会人:限られた時間で効率的に学習する必要がある
  • 独学で不合格だった方:学習方法の見直しが必要
  • 記述式が苦手な方:添削指導で答案作成力を養成する必要がある


もちろん、独学での合格も不可能ではありません。しかし、限られた時間の中で確実に合格を目指すなら、プロの指導を受けることは極めて有効な選択だと言えるでしょう。予備校では、出題傾向を熟知した講師が、「今年出そうな論点」を的確に指摘してくれます。また、同じ目標を持つ仲間との交流も、モチベーション維持に大きく役立ちます。


⇒「行政書士試験の通信講座おすすめ10社を徹底比較


過去問学習の「正しい使い方」を知っていますか?


行政書士試験において過去問学習は必須ですが、「過去問を何周したか」ではなく「なぜその答えになるのかを理解したか」が重要です。


多くの受験生が陥る罠は、「過去問を10周した」という達成感に浸りながら、実は答えのパターンを覚えているだけで、本質的な理解ができていないというケースです。これでは、少し表現を変えられた問題や、複数の論点を組み合わせた問題に対応できません。


効果的な過去問の使い方


1. 学習の最初に使う

過去問は「実力試し」ではなく、「出題論点の把握」に使います。最初に過去問を解くことで、頻出分野が見えてきます。「この分野はよく出る」「この論点は毎年のように問われている」という感覚を掴むことが重要です。


2. 全ての選択肢を検証する

正解肢だけでなく、誤りの選択肢がなぜ誤りなのかを理解しましょう。1問から5倍の学びを得られます。特に「この選択肢のどの部分が誤りなのか」「正しくするにはどう修正すればいいのか」まで考えることで、理解が深まります。


3. 論点ノートを作成する

「この問題はどの論点を問うているのか」「判断のポイントは何か」を整理したノートは、直前期の強力な武器になります。問題番号と論点をリスト化し、「この論点はいつも○○という形で問われる」というパターンを把握しましょう。


4. 年数より理解の深さ

10年分を浅く解くより、5年分を深く理解する方が効果的です。特に直近5年分は、現在の出題傾向を反映しているため、繰り返し解いて完全に理解しましょう。


5. 時間を計って解く

本番と同じ時間制限で解くことで、時間配分の感覚が養われます。また、「この科目にはこれくらいの時間がかかる」という自分なりのペースを掴むことができます。


推奨過去問の範囲:現行試験制度(2006年以降)から、または直近10年分が目安。民法は必ず2020年改正民法対応版を使用しましょう。


【2021年度】行政書士試験の総評


科目別学習時間配分の目安


合格に必要な総学習時間は600〜1,000時間と言われています。科目別の推奨配分は以下の通りです。


  • 行政法:35%程度(210〜350時間)〜最も配点が高く、努力が報われる科目
  • 民法:30%程度(180〜300時間)〜範囲が広く、2021年度難化の傾向に注意
  • 憲法:15%程度(90〜150時間)〜多肢選択式も含めて確実に得点
  • 商法・基礎法学・一般知識:20%程度(120〜200時間)〜効率重視で基本を押さえる


ただし、これはあくまで目安です。法律初学者の方は、民法と行政法にもう少し時間を割く必要があるかもしれません。逆に、法学部出身の方や法律実務経験者の方は、総学習時間を短縮できる可能性があります。


重要なのは、「時間をかけること」ではなく「理解すること」です。1時間ダラダラと教科書を眺めるより、30分集中して過去問を解き、解説を熟読する方が効果的です。


月次学習スケジュール例


12月〜2月(基礎固め期)

  • テキストの通読と基本講義の視聴
  • 行政法・民法の基礎概念の理解
  • 肢別過去問で各論点の確認
  • 法律用語に慣れる(六法を引く習慣をつける)
  • 憲法の重要判例を読み始める


この時期は、「法律の世界に慣れる」ことが最優先です。いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、基本的な概念や用語を丁寧に理解しましょう。特に「権利」「義務」「法律行為」「意思表示」などの基本用語は、全ての法律科目に共通する重要概念です。


3月〜5月(知識定着期)

  • 過去問演習の開始(1周目)
  • 判例の理解と整理
  • 苦手分野の洗い出しと補強
  • 行政法の3法(行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法)を横断的に理解
  • 民法改正のポイントを整理


この時期から本格的な過去問演習を開始します。最初は正答率が低くても気にする必要はありません。「どの論点が頻出なのか」「自分はどの分野が苦手なのか」を把握することが目的です。


6月〜8月(応用力養成期)

  • 過去問演習(2周目以降)
  • 記述式対策の本格開始
  • 横断的知識の整理
  • 判例百選などで重要判例を深く理解
  • 多肢選択式の対策開始
  • 一般知識の時事問題対策開始(ニュースのチェック習慣化)


この時期は、知識を「使える知識」に変えていく期間です。単に「知っている」だけでなく、「問題に応用できる」レベルまで理解を深めましょう。特に記述式は、この時期から本格的に対策を始めることで、答案作成力が大きく向上します。


9月〜10月(実戦力強化期)

  • 模試の受験(最低2回)
  • 多肢選択式の集中対策
  • 過去問の総復習
  • 時間配分の練習(本番と同じ時間で過去問を解く)
  • 弱点分野の最終補強
  • 一般知識の時事問題を最終チェック


この時期は、実戦力を鍛える期間です。模試は必ず本番と同じ時間帯に、同じ緊張感で受験しましょう。模試の結果に一喜一憂する必要はありませんが、「時間配分」「解答順序」「ケアレスミスの傾向」などを分析し、本番に活かしましょう。


11月(直前期)

  • 総まとめと弱点補強
  • 時間配分の最終確認
  • メンタルコンディショニング
  • 重要論点の最終チェック(論点ノートの見直し)
  • 体調管理(規則正しい生活、十分な睡眠)
  • 試験会場の下見(可能であれば)


直前期は、新しいことを詰め込むのではなく、これまで学習してきたことを確認する期間です。「まだあれもこれも」と焦る気持ちはわかりますが、ここで新しい教材に手を出すと、かえって混乱します。自分が作ってきたノートや、何度も解いた過去問を見直し、自信を持って本番に臨みましょう。


【2021年度】行政書士試験の総評


本試験での時間配分と解答順序


試験時間は13時〜16時の3時間(180分)です。この時間をどう配分するかが、合否を左右します。


解答順序の例(個人差があるので要調整)

  • 一般知識(25分)〜足切り科目を先に片付ける
  • 文章理解(15分)〜確実に得点
  • 多肢選択(15分)〜時間をかけすぎない
  • 記述式(15分)〜3問全てに手をつける
  • 5肢択一式(100分)〜基礎法学→憲法→行政法→民法→商法の順
  • 見直し(10分)


この解答順序の理由は以下の通りです。


なぜ一般知識を最初に解くのか?


一般知識は足切りがあるため、最初に解いて足切りクリアを確認することで、精神的に楽になります。また、一般知識は比較的短時間で解ける問題が多いため、試験開始直後の緊張をほぐす効果もあります。


なぜ記述式を早めに解くのか?


記述式は思考力が必要な問題です。試験後半で疲れてから解くより、頭が冴えている前半に解く方が良い答案が書けます。また、「記述式を後回しにして時間切れ」という最悪の事態を避けられます。


なぜ行政法に最も時間を割くのか?


行政法は配点が最も高く(112点)、かつ努力が報われやすい科目です。ここでしっかり時間をかけて得点することが、合格への最短ルートです。


時間配分の鉄則

  • 行政法に最も時間を割く(50〜60分)
  • わからない問題は飛ばし、後で戻る
  • 記述式で時間を使いすぎない(1問5分目安)
  • 見直しの時間を必ず確保する(マークミス、転記ミスの確認)
  • 各科目の目標時間を設定し、時計を見ながら解く


ただし、この時間配分はあくまで目安です。模試や過去問演習を通じて、自分に最適な時間配分を見つけることが重要です。人によっては、「民法を最初に解く」「記述式を最後に解く」という方が合っている場合もあります。自分のペースを見つけ、それを本番で再現できるよう練習しましょう。


2021年度試験を踏まえた特別対策


民法の難化への対応


2021年度は民法が難化しました。2022年度も同様の難易度が続く可能性があります。民法の深い理解を目指して学習しましょう。民法で失点しても、行政法と記述式でカバーする戦略を立てておくことが重要です。


民法対策のポイントは、「丸暗記ではなく理解」です。例えば、「取消しと無効の違い」を単に覚えるのではなく、「なぜ取消しには期間制限があるのに、無効にはないのか」という理由まで理解しましょう。このレベルの理解があれば、初見の問題でも論理的に正解を導き出せます。


一般知識の時事問題対策


2021年度は時事問題が増加しました。単なる過去問学習だけでなく、日頃からニュースに敏感になることが重要です。時事問題への対応能力を養成しましょう。


具体的には、試験の3〜6ヶ月前から、新聞やニュースサイトを毎日チェックする習慣をつけましょう。特に以下の分野は要注意です。


  • 内閣改造、重要閣僚の交代
  • 重要法案の成立(特に行政に関連する法律)
  • 国際会議(サミット、COP、国連総会など)
  • 経済政策(金融政策、財政政策)
  • 環境問題(脱炭素、SDGsなど)
  • 情報通信技術の発展(AI、5G、DXなど)


記述式は標準レベルを想定


2021年度記述式は比較的書きやすかったですが、2022年度は難化する可能性があります。基本論点だけでなく、やや高度な論点にも対応できる力を養成しましょう。


記述式対策として、予備校の模範解答を「写経」する方法が効果的です。手で書き写すことで、法律文書の「型」が身につき、本番でもスムーズに答案が書けるようになります。


メンタル面の対策も忘れずに


「完璧主義」からの脱却


300点中180点(60%)で合格です。全ての問題を解ける必要はありません。「わからない問題があって当然」「難しい問題は他の受験生も解けない」と割り切りましょう。


「捨て問」を見極める勇気


基礎法学2問、商法の難問など、時間対効果の低い問題は潔く捨てる判断も必要です。1問に5分以上かけて結局間違えるより、その時間を得意科目に回す方が賢明です。


本番のリズムを守る


民法や一般知識で難問が続いても、「これは想定内」と割り切り、次の科目で立て直す冷静さが重要です。1問の失点に動揺して、次の問題まで間違えるという連鎖を避けましょう。


前日・当日の過ごし方


試験前日は、新しいことを詰め込むのではなく、リラックスして過ごしましょう。重要論点の最終チェック程度に留め、十分な睡眠を取ることが重要です。当日は、試験開始の1〜2時間前に会場に到着し、トイレの場所や試験室の雰囲気を確認しましょう。


直前期の3つの鉄則


  • 新しい教材に手を出さない〜直前期は既習事項の反復が効果的
  • 体調管理を徹底〜10月後半から生活リズムを整える
  • 模試は点数より分析〜時間配分や苦手分野の確認に活用


直前期は、「あれもこれも」と焦る気持ちが強くなりますが、ここで新しい教材に手を出すと、かえって混乱します。これまで使ってきた教材を繰り返し復習し、「これだけやったのだから大丈夫」という自信を持つことが重要です。


合格への道は、今日から始まる


2021年度行政書士試験は、民法と商法の難化、一般知識の難化が顕著だった試験でした。しかし、行政法、憲法、記述式は比較的取りやすく、これらの科目で確実に得点できたかどうかが合否を分けました。


合格への3つの鉄則

  • 行政法で稼ぐ〜配点112点の最重要科目。過去問を徹底的に反復し、15〜16問の正解を目指す
  • 民法の難化に備える〜2021年度の難化傾向が続く可能性が高い。完璧な理解を目指した学習を心がける
  • 記述式を捨てない〜60点の高配点。2021年度は比較的書きやすかったが、2022年度の難化に備えて対応力を養成する


行政書士試験は、正しい方法で十分な時間をかければ、誰でも合格できる試験です。ただし、「過去問を何周もしたのに受からない」という落とし穴に注意しましょう。大切なのは周回数ではなく、なぜその答えになるのかを理解することです。


2021年度試験の分析から明らかになったのは、試験の難化傾向と出題の多様化です。この傾向に対応するためには、「戦略的な学習」が不可欠です。全ての科目を完璧にしようとするのではなく、「どの科目で何点取るか」という明確な目標を持ち、それに向けて効率的に学習を進めることが重要です。


また、独学に限界を感じている方は、予備校や通信講座の利用を検討してみてください。プロの指導を受けることで、学習効率が飛躍的に向上します。特に記述式対策や時事問題対策は、独学では難しい部分も多いため、予備校の力を借りることが有効です。


2022年度試験まで残り約11ヶ月。今日から、いえ今この瞬間から、正しい方法での学習をスタートさせましょう。


2021年度試験の教訓を活かし、民法の深い理解と一般知識の時事問題対策を充実させれば、必ず合格を掴み取ることができます。行政書士試験は、努力が報われる試験です。諦めずに、コツコツと積み重ねていけば、必ず結果はついてきます。


あなたの努力は、必ず報われます。来年の今頃、あなたが「合格しました!」と喜びの報告をしている姿を想像しながら、今日から一歩ずつ前進していきましょう。頑張ってください!


【2021年度】行政書士試験の総評