
行政書士試験の多肢選択式問題における行政法は、2問で16点という大きな配点を持つ重要な得点源です。憲法と合わせて24点となるこの分野は、条文知識を正確に身につければ確実に得点できる「取りこぼせない」セクションと言えます。
多くの受験生が「20個の語群から正解を選ぶのが難しい」と感じていますが、実は体系的な解き方の手順を確立すれば、安定して高得点を獲得できるのが行政法の多肢選択式の特徴です。

まず、行政法の多肢選択式がどのような形で出題されるのかを理解しておきましょう。
行政法の多肢選択式では、主に以下の3つの法律から出題されます。
これらの法律の条文や、行政指導・行政契約といった基本的な制度に関する解説文が題材となります。憲法と比較すると、条文知識の正確性がより強く問われるのが行政法の特徴です。
1問につき4つの空欄があり、空欄1つにつき2点の部分点が設定されています。つまり、完璧に解けなくても部分的に正解すれば得点できる仕組みです。この16点を着実に積み上げることが、行政法全体での高得点につながります。

行政法の多肢選択式を攻略するには、論理的な手順に沿って解くことが重要です。以下の3ステップを実践してください。
問題文の長文を読んで、どの法律のどの制度について述べているのかをまず特定します。これが最初の重要なステップです。
体系知識を動員するポイント
法律や制度を特定できたら、その定義・要件・効果を頭の中で再生し、空欄に入るべき内容を予測します。特に行政不服審査法と行政事件訴訟法は似た制度が多いため、期間制限や対象の違いを意識することで予測の精度が高まります。
問題文の事案が、処分前の段階(行政手続法)なのか、行政内部での救済段階(行政不服審査法)なのか、司法審査の段階(行政事件訴訟法)なのかを意識すると、文脈が掴みやすくなります。

空欄に該当する部分を、語群を見る前に、前後の文章から論理的に分析します。このステップが最も重要です。
条文上の定義を確認する
行政法では条文上の定義が非常に重要です。空欄が定義に関する場合は、条文通りの用語を予測しましょう。例えば「〇〇を行う」という文脈なら、「行政指導」や「行政処分」といった用語が入ると予測できます。
論理的な予測を立てる
空欄が要件や効果を説明する部分であれば、因果関係や目的を表す用語を予測します。「〇〇に反する」という文脈なら、「違法性」や「妥当性」といった評価用語が入ると考えられます。
予測した語句をメモする
20個の選択肢に惑わされないよう、空欄の横に予測した語句を簡潔にメモしておきます。「裁決」「不作為」「原告適格」といった法律用語を正確に予測することが、正答率を高める鍵となります。

予測した語句と20個の語群を照らし合わせます。ここで注意すべきポイントがいくつかあります。
類似用語を正確に識別する
語群には、制度上は存在するが文脈には合わない類似用語が含まれています。例えば「違法」と「不当」、「取消し」と「撤回」などです。論理的に最も正しい用語、または条文上の用語を選択してください。
制度間の区別を意識する
行政不服審査法と行政事件訴訟法、聴聞と弁明の機会の付与など、似た制度の区別が重要です。文脈がどの制度を指しているかを再確認し、選択肢を絞り込みましょう。
消去法を徹底する
確実性の高い空欄から先に埋め、使用済みの語句を語群から消すことで、残りの空欄の選択肢が絞り込まれます。これにより選択ミスを防ぐことができます。

多肢選択式で得点するためには、以下の制度について条文のキーワードを正確に覚えることが不可欠です。
行政事件訴訟法は多肢選択式での出題頻度が非常に高い分野です。
重要キーワード
処分性、原告適格、出訴期間、審査請求前置といった訴訟要件を定める条文上の用語を正確に覚えましょう。特に原告適格に関する判例の規範は頻出です。
対策のポイント
取消訴訟、無効等確認訴訟、義務付け訴訟など、各訴訟類型とそれぞれの要件の違いを表で整理しておくと効果的です。

重要キーワード
審査請求期間(具体的な数字)、審査庁(誰に請求するか)、裁決の種類(却下・棄却・認容)など、手続の主体や結果に関する用語が重要です。
対策のポイント
期間制限の数字や、処分に関わった職員が審理員になれないといった公正性に関するルールを条文で正確にチェックしましょう。

重要キーワード
不利益処分における聴聞と弁明の機会の付与の適用基準、理由の提示といった、処分前のルールに関する条文上の用語を押さえます。
対策のポイント
聴聞と弁明の機会の付与の対象となる不利益処分の重さの違いを理解し、どちらの手続きが必要かを判断できるように訓練しましょう。

行政法の多肢選択式対策は、択一式対策の精度を上げることがそのまま得点につながります。
しかし、独学だと択一式の勉強と多肢選択式の勉強との結びつけがうまくいかないリスクがあります。
やはり、予備校の講座を利用するのが確実です。
特に評判が良い伊藤塾の講義では、行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法を、国民の権利救済の流れとして体系的に学ぶことができます。これにより、「審査請求と取消訴訟の違い」など、制度間の関連性を問う問題に強くなります。択一式の勉強をすると同時に、多肢選択式問題にも強くなります。
行政法は条文上の定義や要件がそのまま出題されます。「行政指導」「処分」「行政行為」などの定義を正確に暗記し、そのキーワードが多肢選択式で問われたときにすぐに認識できるようにすることが重要です。
問題を解いた後、解答解説の条文引用箇所や制度説明箇所を熟読しましょう。「空欄の前後をどう繋ぐか」という論理の構造を学ぶことで、自力で正答を導く力を養うことができます。

行政法の多肢選択式は、条文知識の正確性が全てです。制度の流れを理解し、条文上のキーワードを的確に埋める訓練を積めば、16点満点中12点以上を安定して確保することが可能です。
まずは本記事で紹介した3ステップの解法を実践し、頻出制度のキーワードを確実に押さえることから始めてください。体系的な理解と正確な条文知識の組み合わせが、多肢選択式での確実な得点につながります。